Adidas A.E.1 Performance Review
- テストカラー:Arctic Fusion/Core Black/Cloud White(IF1859)
- 主な機能:Boost Midsole,TPU Shank Plate x 2,TPU Internal Heel Counter,TPU External Heel Counter
- 着用した主なプレイヤー:Anthony Edwards
- 価格:¥16,500・$120
Introduction
今回はAnthony Edwards(アンソニー・エドワーズ)の1stシグネチャー"adidas A.E.1(アディダス AE1)"のパフォーマンスレビューです。
エドワーズは2024年2月現在、ウエスト1位の勝率を誇るミネソタ・ティンバーウルブズのエースSG。
ドライブからリム上でのフィニッシュを果敢に狙う自分の好きなプレースタイル。
そんなアントマンのファーストシグと言うことで、今作は発売前から楽しみにしていました。
さて肝心の履き心地はどうなりますか。早速細部を見て行きたいと思います。
TRACTION - 10 / 10
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。
全面が前後方向に走る「ヘリンボーン・パターン」のアウトソール。
ラバーはターコイズブルーの「トランスルーセント」。ソフトで粘着性はやや高めの質感です。
スキール音はたまに鳴る程度で基本静か。
パターンに沿ってV字型のグリッドが全面に深めに入っており、クッションのブーストとともに体重を掛けるとやや沈みます。
タイプとしてはピタッピタッと一歩一歩しっかり掴むトラクション。
掴みつつも遅れはそこまで感じないレベルで、制動距離もナチュラル。
ホコリにも強くパーフェクトスコアです。
CUSHIONING - 8 / 10
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。
「ブースト・ミッドソール」単体のクッションセットアップ。
そのブーストは2種類のTPU製シャンクによって上下からサンド。
アウトソールから透けて見える「ほぼ8の字型シャンク」と、ミッドソール中央上部に配置された「長方形型シャンク」の2種類です。
さらにアッパー左右のハニカム状パーツは「ラバー調のTPUケージ」で、ミッドソールを完全に覆い隠しています。
このシャンクとケージによりブーストは良い感じに圧縮され反発が増し、ソール剛性も強化される…と期待してのトライ。
実際に履いてみると最初の10分程度は厚みは感じつつ、ダイレクト且つ高反応で快適な乗り心地。
その後、体温が上がって熱でブーストが解れてくるに連れて、徐々に沈みも感じるように。
追加でアウトソールのV型グリッドも沈む感じが増え、第一印象からはだいぶマイルドなクッションに変化。
とは言えソール剛性は強力なままなので、沈みのタイミングにステップを調整後は概ね快適にプレーできました。
唯一にして最大の問題は「クイックモーションのアウトサイドが今作を履くと絶望的に入らない事」。
8の字型シャンクとV字型グリッドにより、ブーストは部分的にソフトだったり高弾力だったりと捉えどころのない感触になります。
クイックでシュートを打つシチュエーション以外では、クッションに対して調整する時間的余裕があるので普通にプレーできます。
ですがクイックの場合に限っては、かなり履きこんでクッション特性を身体に馴染ませないといけないと感じました。
※市販のインソール「スーパーフィートのグリーン」に交換すると、アーチサポートがやや過剰になるためNG。
※"Nike Zoom BB NXT"の「リアクトインソール」に交換では吸収性が過剰になるためこちらもNG。
※スジオカボードたちとマットなポリウレタン製の薄い「純正インソール」との組み合わせは素材どうしがやや滑るためNG。
※代わりにやや厚みある硬めの「ナイキ ジャ1のインソール」を使用しました。
※「スジオカボード1.6mm」と「ナイキ ジャ1のインソール」の組み合わせは沈みを抑えてくれ、且つ捨て寸も少し埋めてくれるため好感触。
※「スジオカボードサマー」でも1.6mmと同レベルに好感触。
※「スジオカボード1.5mm」ではクッションの暴れ馬感を助長するためNG。セクションによって質感が違うクッションと1.5mmの相性はやはり悪い模様です。
※インソール・ボード交換はスコアに含めていません。
※ここで言及していないインソールやボードの他の組み合わせは「特に変化なし」もしくは「NG」でした。
※インソール・ボードの合う合わないは個々人によるのでこれらはあくまで参考程度でお願いします。
COURT FEEL - 8 / 10
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。
クッションには厚みがあり物理的にコートと遠めの構造。
加えてクッションの感触がセクションごとに異なることから減点。
とは言えクイックのシュート以外ではそこまで接地感が低いと感じることはありませんでした。
体重が軽い方はスコアよりも低く感じる可能性が高いクッションなので、接地感を重視したい方は購入前に要確認です。
FIT/LOCKDOWN - 8 / 10
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。
「独立タン」を「ラバー調のTPUケージ」で補強された「アッパー」が包むセットアップ。
黒い分はメッシュ素材で、タンはネオプレン調の素材が使われています。
タンはラバーバンドでインナー底面と繋がっていて、その位置が一般的なバッシュと比べヒール寄り。
履き口は前後にも上下にも狭く、タンとアッパーの素材に伸縮性が無いため、初回の足入れはかなり困難。
タンとヒールタブを前後に引っ張り、フォアフットを突っ込んで、カカトはヒールカウンターに乗せ、体重をゆっくりかけ、なんとか足入れ完了。
2回目以降はバンドがやや伸び、クッションの沈みが強くなった分だけ余裕が生まれ、足入れはかなり楽になりました。
それでも甲高の足型だと入らない可能性が残る構造。どうしても履きたい場合は最悪ラバーバンドを切るのもアリかもしれません。
中の空間は長く、幅と高さは通常レベル。
ただ下から二列目のシューレースホール内部でタンがアッパーに重なるかたちで縫い付けられており、ここだけ局所的に厚い。
普段アッパーの当たりが気にならない自分でも初回は擦れが気になったので、甲への当たりにこだわる方は購入前に確認必須です。
その下二列のシューレースはアッパーに通してあるだけで調整幅は無く、シューレースが機能するのは中足部から後ろのみ。
シューレースは丸型でやや硬めの編み方。普通の結びだと毎回必ず解けてしまうので、「二重結び」もしくは「ストッパー」が必須です。
初回は履き口の狭さからソックス1枚でしか履けませんでしたが、2回目以降はいつものソックス2枚でもあまり苦労せず足入れ可能に。
内部空間がしっかり埋まり、ソールを隈なく押せる様になったことで反発性はアップ。
…基本この状態は正解のはずですが、今作は珍しく例外。
反発力アップと比例してセクションごとの沈み幅アップしてしまい、かなりの暴れ馬、ジャジャ馬クッションに。
捨て寸をやや確保してでもソックス1枚が良さそうです。
※Cushionigの項目はソックス1枚で履いて採点したスコアになります。
カカトの収まり、二重結びした際のロックダウンは優秀で、アッパーを覆うTPUケージも動きの妨げにならずスムーズに足と連動してくれます。
ただやはりシューレースホールでの調整幅が少なく、ソックスで埋めるとクッションに影響が出る状態ではスコアを下げざるを得ませんでした。
※※※サイズ選びに関して※※※
ナイキのグローバルラストのマイサイズからハーフサイズ(0.5cm)ダウンの「27.0㎝」を購入。
前述のとおり、いつものソックス2枚で内部空間はジャストになるも、クッションがアンバランスになってしまいます。
自分含めソックス2枚勢は、インソール変えない前提ならフルサイズ(1.0cm)ダウンをソックス1枚で履くのがおそらく最適解かなと。
普段からソックス1枚で履いている方はマイサイズからシンプルにハーフサイズダウンで良いでしょう。
甲高の方は履き口を要確認なので、事前試着、もしくは交換可能のショップでのオーダーをオススメします。
SUPPORT - 8 / 10
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。
懸念はシューレースホール二列目の当たりと、足型によってはソックス1枚で履いてもクッションが不安定に感じる可能性があること。
それ以外は上下に2枚のシャンクのおかげで捻れ剛性は強力で、ソールとヒールの安定性も十分。
基本のサポート性は優秀な部類かと。
LATERAL TRANSITION - 9 / 10
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。
沈みにより最初は遅れをかなり感じましたが、一度慣れてしまえば左右方向への動きはスムーズに。
HEEL-TOE TRANSITION - 9 / 10
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。
前後方向も同様で、満点とはいかないものの概ねスムーズです。
BREATHABILITY - 6 / 10
通気性能。 通気が良いほど高評価。
ネオプレンのタンとアッパーのメッシュから、またTPUケージのハニカム部分もメッシュになっていて、ここからも通気します。
見た目の割に通気口は多めに確保されていて、平均的な通気性はあるかなと。
DURABILITY - 6 / 10
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。
画像は初回バスケ(3時間)の後に撮影したもので、左足つま先のアウトソールに剥がれが見られました。
これはおそらく捨て寸を大きめに取った状態、ややオーバーサイズで履いたことで、シューズが過変形して起きた結果と思われます。
ただこの日は通常バスケに加えて50回以上の全力ジャンプを行ったので、ブロックフットである左つま先に過剰が負荷が掛ったのも大きな要因に違いありません。
やや無茶な使い方だったとは言え、今まで1000足以上バッシュを履いてきて、初回でソールがここまで剥がれたのは今作を含めてもほんの数足。
オーバーサイズで履かざるを得ない方が多いと思われる構造で、接着が甘いのは評価を下げざるを得ません。
もちろんハズレの個体を引いた可能性もありますが、アディダスと言えば接着が強力なイメージ。
オリジナルのT-MAC 2は13年間、最後にクッションがヘタリ切るまで剥がれは一切起きず履けたくらい超強力でした。
それだけに今回は厳しめに採点となります。
WEIGHT - 8 / 10
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。
約496g(27.0cm・片足)
Final Conclusion
今作をまとめますと「要事前サイズ確認」。
どのソックスを何枚履くか、どのインソールを使うか、どのスジオカボードを入れるのか、そもそもボードを使うのか。
どの組み合わせを好むかによって、履くべきサイズが変わってきます。
また購入後も、アレンジしがいがあると同時に、色々と苦悩する可能性が高いです。
発売前から話題で大人気なのでチャレンジされる方は多いと思いますが…皆様ご武運を祈っております。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
このレビューが少しでもバッシュ選びの参考になれば幸いです。
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TRACTION - 10/10
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CUSHIONING - 8/10
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COURT FEEL - 8/10
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FIT/LOCKDOWN - 8/10
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SUPPORT - 8/10
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LATERAL TRANSITION - 9/10
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HEEL-TOE TRANSITION - 9/10
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BREATHABILITY - 6/10
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DURABILITY - 6/10
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WEIGHT - 8/10