Adidas D Lillard(Dame) 2.0 Performance Review
- テストカラー:Core Black (F37124)
- 主な機能:Bounce, Torsion System, Continental Rubber Outsole, TPU External Heel Counter, Techfit Inner Bootie
- 着用した主なプレイヤー:Damian Lillard, Devin Harris, Justice Winslow, Danilo Gallinari
- 価格:¥15,984(国内)・$105(海外)
Introduction
今回のレビューはデイミアン・リラードの2ndシグネチャー。
前作“D Lillard 1.0”は残念なフィット感が、ほかの良い部分をすべて殺してしまっていました。
良い部分はかなり好感触だったので、フィット感さえ良ければ名作だった可能性もありました。
今作もフィットの部分は同じテックフィットのインナーブーツ。
前作ではローカットでしたが、今作はミッドカットです。
試着段階でかなりの好感触。
オンコートのパフォーマンスも期待できそうです。
それでは機能の細部を見ていきたいと思います。
TRACTION - 8 / 10
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。
アウトソールは微細な五本線が並んだパターン。
五本線はブレイザーズのロゴからインスパイアされたものでしょう。
ラバーは“Continental”社製で、しっかりロゴも刻印。
このラバーは主にマウンテンバイクのタイヤに使われています。
普通のバッシュにはないタイヤ用ラバー独特の香りがします。
このラバーは非常に粘性が高く、そして柔らかい。
新品の状態では歩いただけでギュッとギュッとラバーが軋み、プレーしてみるとキュッと大きくスクィール音がし、ビタッと止まります。
ですが少しプレーを続けると音は消え、トラクションも弱くなり、わずかに滑る。
アウトソールを見るとホコリで真っ白。
比較的きれいなコートでも、トラクションが弱まるまでの時間は多少長くなるものの、それでも頻繁に拭く必要があります。
最近試した"Kobe XI(11)”と似た感覚です。
粘性の高いラバーがホコリを吸着しやすく、それでいてソールパターンが細かすぎるが故にホコリの逃げ場もなく接地面をすぐに覆ってしまいます。
それでも“Kobe XI(11)”ほど大幅にトラクションが落ちるわけではなく、僅かに反応が遅れる程度。
トータルで平均よりやや上レベルのトラクションは維持されています。
CUSHIONING - 9 / 10
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。
ミッドソールにアディダスの新しいフォーム素材“Bounce(バウンス)”をフルレングスで使用したクッション・セットアップ。
バウンスと聞くとガーネットの“TS Bounce Commander”を思い出します。
あれは“Spring Blade(スプリング・ブレード)”のようなTPU素材をヒールに設置したクッションでした。
違う機能で同じ名称ってどうなんだろう?、と思いますが…。
ともあれ今作の話をしましょう。
バウンスフォームは容量多く入っていて、結構厚め。
“Charged Foam Curry 2”のチャージドフォームをすこしソフトにした様な、よりラバーに近い感触です。
バウンスの名に相応しく、弾力性は素晴らしい。
インソールも厚めのオーソライト製でモチモチした心地良い感触。
アウトソールのラバーもしなやかで体重を掛けると適度に沈みます。
衝撃吸収性は最高レベルでしょう。
フォアフット部分の剛性・復元性は比較的強め。
バウンスフォームの反発性も高い。
ですが、クッション全体が厚い分、動き出しや切り替えしで遅れる感覚がありました。
それでも平均よりやや上レベルの反発性は確保されているかと。
COURT FEEL - 9 / 10
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。
FIT/LOCKDOWN - 10 / 10
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。
前作“D Lillard 1.0”ではインナーブーツの履き口とヒールの成型が緩く、カカトが緩い感覚がありました。
今作でも同じテックフィットのインナーブーツが使用されていて、履き口の形状も似ています。
同じ機能が使われていますが、その作りは全くの別物。
今作のフィット感はアディダス史上最高クラス。
完全に足と一体化した感覚があります。
同等のフィット感で思い当たるのは2002年の“T-MAC II(2)”くらいでしょうか?
まず、インナーブーツは成型が絶妙で、加えてタン部分とヒール周りにはパディングが追加されています。
最近の履きにくいワンピース構造のインナーブーツたちとは違い、足入れはストレスなくスポッと収まります。
巨大なヒールカウンターも横ブレをしっかり防止してくれます。
アッパーの素材も足当たりはナチュラルでストレスの掛かるポイントはありません。
つま先からサイドに掛けての素材は“Air Jordan XX9(29)”や“Kd VIII(8)”とほぼ同様。
パフォーマンス・ウーブンとかフライ・ウィーブと呼ばれているコンピューター制御で微細に編み込まれた素材です。
アディダスはこの素材に対して名称を付けてませんが、ほぼ同じ技術でしょう。
但し、この部分の素材はカラーによってニット素材だったり、シンセティックレザーだったりしますので注意が必要です。
シューレースは薄い平紐が使われ、解けやすい事もなくしっかり足をロック。
シューレース下のインナーブーツは絶妙の薄さで、足甲に食い込むこともありません。
また、シューレースのホールカットは浅く、シューレースの最下列がつま先から遠い構造になっています。
これは“D Rose 6 Boost”や“Jordan Super.fly 4”でも指摘した問題構造ですが、今作に関しては問題なし。
フォアフットの成型が良く、伸縮性あるインナーブーツが足をしっかりと包んでくれます。
サイズに関しては、通常サイズで良いと思います。
アディダスモデルは最近サイズが大きめが多いですがこれは通常です。
インナーブーツのパディングがあるので、試着の際はしっかりシューレースを締めることをオススメします。
予想以上に足がカカト側に寄るはずです。
SUPPORT - 10 / 10
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。
LATERAL TRANSITION - 8 / 10
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。
HEEL-TOE TRANSITION - 8 / 10
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。
BREATHABILITY - 8 / 10
通気性能。 通気が良いほど高評価。
DURABILITY - 9 / 10
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。
WEIGHT - 8 / 10
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。
Final Conclusion
非常にバランスの取れたモデルで全項目で高スコアとなりました。
使っているマテリアルは素晴らしいものばかり。
バウンスフォームの厚さ、アウトソールパターンなど設計の面で少し残念でしたが、それでも近年のアディダスモデルで、ここまで1つの作品として完成度の高いバッシュは記憶にありません。
“名作の一歩手前”と言って良いかと。
リラードシリーズ、今後大いに期待できそうです。
補足ですが、アッパーはそのままに、“Crazy Light Boost 2015”のソールを組み合わせたプレミアム・バージョンが発売されました。
リラードもこのバージョンをオールスターで履いてましたね。
もし、フィット感をそのままに接地感・反応が良くなれば、トータルスコアも大きく伸びる可能性があります。
このプレミアムバージョンも近日中にレビューしたいと思います。
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TRACTION - 8/10
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CUSHIONING - 9/10
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COURT FEEL - 9/10
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FIT/LOCKDOWN - 10/10
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SUPPORT - 10/10
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LATERAL TRANSITION - 8/10
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HEEL-TOE TRANSITION - 8/10
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BREATHABILITY - 8/10
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DURABILITY - 9/10
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WEIGHT - 8/10