Nike KD 8(VIII) EP Performance Review
- テストカラー:Hunt's Hill Sunrise(800259-807)
- 主な機能:Dynamic Flywire, Flyweave Technology、Full-length Articulated Zoom Air Unit, Phylon Midsole、TPU Internal Heel Counter
- 着用した主なプレイヤー:Kevin Durant, Manu Ginobili, Luol Deng, Justice Winslow
- 価格:¥19,440(国内)・$150(海外)
Introduction
ケビン・デュラントのシグネチャーの8代目。
前作“KD VII”は、デュラント本人に不評でほとんど着用されず仕舞い。
昨シーズン開幕前に故障した足甲をサポートするために、デュラントは特注のインソールを使用していました。
一応、デュラント本人はインタビューで“そのインソールが“KD VII”にはフィットしない”と着用しなかった理由を答えています。
ですがこのインタビュー内容はナイキに気を遣ったもので、実際は“単純に機能が気に入らなかったためじゃないのか?”と勘繰る声がネット上には少なからずあり、自分もその一人です。
前作のパフォーマンス・レビューでも書きましたが、特に反発性が異様に低く、デュラントが好むとは思えない機能でした。
2015-16シーズン半ば時点では無事(?)デュラント本人は毎試合“KD 8”を履いてプレーしています。
どう機能に変化を付けてきたのか、細部を見ていきたいと思います。
TRACTION - 9 / 10
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。
CUSHIONING - 8 / 10
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。
ファイロン・ミッドソールと“Articulated”(分節)されたフルレングス・ズームエアのセットアップ。
ズームエアは画像のようにヒール内側とフォア外側が分節されています。
また通常バッシュではズームエアは透明ですが、このモデルではソールと同じカラーのズームエアが使われています。
そのため、ビジブルになっていますが画像では分かりにくいですね。
クッション全体は薄めですが、しっかりとした衝撃吸収性があります。
分節された箇所は、外からTPU素材やアウトソールの巻き上げで補強されているため、あまりズームエアの感触はありません。
一方、分節のない母指球部分はプニプニとズームエアらしい感触です。
反発性に関しては、平均レベルでしょうか。
フォア部分はズームエアが分節され、それに合わせて大きくフレックス・グルーヴがあります。
そのためフォア部分の剛性・屈曲からの復元力は弱めで、動きを加速してくれる感じではありません。
この辺りはビジブル・フルレングス・ズームエア搭載モデルの難しいところですね。
分節やグルーヴが無いと反発性は強いが、フォアの屈曲がナチュラルにならない。
逆に有ると反発性は弱いが、フォアの屈曲がナチュラルになる。
このモデルは後者です。
COURT FEEL - 10 / 10
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。
フルレングス・ズームエアをビジブルにすると、どうしてもエアが変形し安定性に欠けるのが難点でした。
“Lebron X”や“KD VI Elite”などはその最たる例ですね。
それを解決したのがズームエアを収めるアウトソールの形状。
ズームエアよりもひとまわり大きく、ズームエアの下半分が埋まるカップ形状になっています。
今までにないセットアップで“ハーフ・ビジブル”とか呼んだ方が良いかもしれません。
加えて小指部分にはTPU素材で補強され、ヒールの外側はアウトソールが巻き上がって更にブレを防止してくれます。
これらの結果、急な切り返しでもズームエアは常に足の下にあり、接地感は素晴らしいです。
FIT/LOCKDOWN - 6 / 10
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。
アッパーは“フライウィーブ・テクノロジー”と“ダイナミック・フライワイヤー”のセットアップ。
フライウィーブは呼び方が変わっただけで、“Air Jordan XX9”の“パフォーマンス・ウーブン・アッパー”と同じピクセル単位で編み込まれたアッパーです。
このアッパーはXX9と変わらず優しい足当たり。
足当たりは優しいですが、肝心のフィット感は微妙です。
原因はアッパーの素材ではなくその成型にあります。
広いソールに合わせてアッパーもかなり幅広の作り。
このモデルが幅広のEP(Engineered Performance)であることを差し引いても広めです。
また、アッパーとタンが完全に分割されていないKDシリーズ定番の構造も影響します。
ちょうどフライワイヤーがある辺りまで、タンがアッパーに縫い付けられています。
そのためシューレースを締めても、アッパーが寄って挟まり上手くフィットしません。
ヒール周りもゆったりした成型で、パディングも少なめ。
追加のアキレスパッドもないため、カカトのロックダウンも甘いです。
このモデル履いているNBA選手がちょいちょい試合中に脱げてしまっているのも納得です。
また、つま先の巻き上がったアウトソールが、ストップやジャンプする時に足指に当たって痛い。
同じ構造を持った“Jordan Melo M10”でも起きた現象ですが、このKD 8はフィットが甘いため、シューズ内で足が動く余裕があるため更に強く当たってしまいます。
非常に軽いため、フィット感が甘くてもプレーは出来てしまいますが、より良いパフォーマンスを求めるならサイズ選びが非常に重要なモデルです。
このEPバージョンの作りはかなり幅広で、長さ・高さは通常です。
よほど足幅の広いプレイヤーでなければ、EPよりも通常幅の海外バージョンを選ぶ方が無難かと思います。
ですが、つま先の当たりなどもありますので、できるならば試着してから、もしくは返品可能なナイキオフィシャルストアでの購入を強くオススメします。
SUPPORT - 7 / 10
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。
LATERAL TRANSITION - 8 / 10
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。
HEEL-TOE TRANSITION - 7 / 10
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。
BREATHABILITY - 9 / 10
通気性能。 通気が良いほど高評価。
DURABILITY - 8 / 10
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。
WEIGHT - 10 / 10
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。
Final Conclusion
前作“KD VII”とは全く真逆の機能に仕上がっています。
前作はソールとクッションがソフト過ぎてリアクションの遅いトレーニングシューズのような作り。
今作はソールのクッションは一定レベルを維持しつつ、リアクションの良いバッシュらしい作りになっています。
EPバージョンでなければ“Fit/Lockdown”や“Transition”のスコアも良くなり、ランクも“A-”には確実になったでしょう。
ローカットモデルとしては最近では“Zoom Run The One”がベストですが、その次くらいに良いバッシュです。
サイズ選びが難しいですが、それさえクリアすれば高パフォーマンスを期待できるバッシュです。
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TRACTION - 9/10
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CUSHIONING - 8/10
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COURT FEEL - 10/10
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FIT/LOCKDOWN - 6/10
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SUPPORT - 7/10
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LATERAL TRANSITION - 8/10
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HEEL-TOE TRANSITION - 7/10
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BREATHABILITY - 9/10
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DURABILITY - 8/10
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WEIGHT - 10/10