Air Jordan XXXVI(36) SE R PF Performance Review
- テストカラー:Rui(DJ4485-600)
- 主な機能:Eclipse Plate 3.0, Forefoot Zoom Air,Full-length Zoom Air Strobel,Internal TPU Heel Counter, TPU Ribbon
- 着用した主なプレイヤー:Jayson Tatum,Carmelo Anthony,Jeff Green,Nicolas Batum,Talen Horton-Tucker,Mike Conley,LaMarcus Aldridge,Rui Hachimura,Devonte' Graham,Bismack Biyombo,Caris LeVert,Blake Griffin,Cody Martin,Obi Toppin,Jordan Clarkson,Tim Hardaway Jr,Bradley Beal,Kemba Walker,P.J. Tucker,Harrison Barnes,Bam Adebayo,Rudy Gay
- 価格:¥22,550・$185
Introduction
今回はエアジョーダンシリーズの36thモデル"Air Jordan XXXVI(36) SE R PF"のパフォーマンス・レビューです。
※SEはスペシャルエディションの略で、RはNBAワシントン・ウィザーズ所属の八村塁のイニシャルを表しています。
※またPFはパフォーマンスフィットの略でアジア向けにサイズ感にゆとりを持たせたモデルである事を表しています。
試着段階ではなかなか好感触だった今作。
とは言え自分には合わない傾向にあるズームストロべル搭載モデル。
正直半信半疑の中でのトライです。
TRACTION - 9 / 10
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。
全面が前後方向に走る「ヘリンボーン・パターン」のアウトソール。
ラバーの素材は「トランスルーセント」。
通常PFラストのラバーは耐摩耗性に優れた「XDR」が使われますが、今作は例外的に異なります。
XDRは変形や復元の仕方に癖があるため、あえてトランスルーセントの今カラーを選びました。
結果としては大正解。
トランスルーセントの質感は、粘性(変形のしやすさ)がやや高めで、粘着性は低め。
スキール音はやや大きめに鳴り、ほぼ止まりたいところで止まれます。
ほぼと注釈を付けたのはクッションの影響なので、ラバー自体の機能としてはパーフェクト。
次項のクッショニングの懸念ポイントが気にならない方ならスコア以上に感じるトラクションでしょう。
CUSHIONING - 7 / 10
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。
クッションは「ファイロン・ミッドソール」に「フルレングス・ズームストロベル」と「フォアフット・ズームエア」を合わせたセットアップ。
中足部にはシャンクとして「イクリプスプレート3.0」が配置されています。
ファイロンは平均レベルの密度でややソフトな質感で、インソールはズームストロベルに合うように底面が成型されたやや硬めのフォーム素材。
試着したカラーに比べ、このカラーのファイロンはかなりソフトになっているように感じます。
初回の着用は一時間のスキルワークアウトにて。この段階ではなかなか快適でした。
二回目はフルコートのゲーム形式で。強度的にはけっこう高めのバスケ。
初回から一転して、クッションの沈みは強くなり、フォアに乗るとかなり大きいブレを感じるように。
普段はややフォア寄りに履いて、ほとんど曲がらない箇所をスプリングの様に使って走るのですが、今作でそれをやるとズームエアに足が押されてシューズ内であらぬ方向に動いてしまいます。
この状態で我慢して二時間プレーしたら数年ぶりの靴擦れが起きました。
後日色々試して、効果的だったのはヒール寄りに履いて、シューレースもタイトに締めてフォアに捨て寸をしっかり取る事。
一般的にはこちらの履き方の方が多いと思うので、最初から足ブレに関しては問題ないという方が多いでしょう。
ブレに関しては大体解消されましたが、二回目以降のクッションは俗に言う「馴染んだ」状態で、かなりソフトに。
フォアに捨て寸を取ると、ソールの屈曲剛性の利用が難しくなる事も相まって、初回に比べ反発はだいぶマイルドに。
その場でジャンプや、決まったムーブであればそれなりにズームの反発を使えますが、相手に合わせた細かいムーブやステップではコートまでのエネルギー伝達が遅い。
体重が掛かるタイミングが遅いため、トラクションにも多少の影響があります。
フォア寄りで履いてる段階では正直、個人的にエアジョーダン史上最低パフォーマンスだと思ってるエアジョーダン34の再来か!?と危惧してました。
⇒Air Jordan XXXIV(34)のパフォーマンスレビューはこちら
実際はそこまでではなく、一般的な吸収優位なクッショニング。
AJ34では小指側や土踏まず部分で剥き出しだったズームエアが今作ではしっかり収納されている事がプラス要因。
マイナス要因としては「ズームストロベル」。。になっちゃいますね。本来ならフォームストロベルで収納されているはずの部分が剥き出しなので。
若干ですがプラスが勝ってくれて本当に良かったです。
いつもオススメしている「スーパーフィートのグリーン」は合います。特にアーチがしっかりしている方ほどしっくり来る可能性が高いです。
ですがズームエアをガッツリ押し潰した状態が続くので耐久性が不安です。
パフォーマンスの特性は変わりますが、プレーのしやすさのレベルはそんなに変わらないので個人的には純正インソールがベストに感じます。
"Nike Zoom BB NXT"の「リアクトインソール」はクッションが厚くなり過ぎるのでオススメしません。
※インソール交換はスコアに含めていません。
COURT FEEL - 7 / 10
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。
厚めのクッションでズームエアもボヨンボヨンしているため、接地感はそこそこ。
こちらもフォア寄りで履いている時は絶望的でしたが、ヒール寄りではだいぶ改善されました。
FIT/LOCKDOWN - 8 / 10
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。
「独立タン」を「アッパー」が包むクラシックなセットアップ。
アッパーの素材は「TPUリボン」と言う名の「TPU製メッシュ」がメイン。
このリボンはしなやかながら、やや硬めな質感。
シャンクプレートとしては「イクリプスプレート3.0」を搭載。
タンは大きく開き、足入れは簡単。
今作はPFラストですが、高さのゆとりの増加は最小限に抑えられています。
タンとヒール周りのパディングはそんなに厚くないですが、こちらも抜け感なくしっかり足を抑えてくれます。
左右のくるぶし周りのアッパーにゆとりがあり、この部分が気になるかと思って撮影はしましたがプレー中は気にならず。
AJ34から導入されたイクリプスプレートは、三代目にしてようやく邪魔をせず、シャンクの役割を果たしてくれています。
フォア寄りで履いている時は硬質なリボンに小指の皮を削られましたが、ヒール寄りであれば問題なさそうです。
※※※サイズ選びについて※※※
グローバルラストのマイサイズと同様の27.5cmを購入。
試着段階ではいつものソックス二枚だとややきつかったものの、クッションの沈みを予想してPFラストもマイサイズに決定。
結果、クッションが馴染んだあともサイズに余裕は生まれず、ソックスを一枚減らしてちょうど良かったです。
エアストロベル/ズームストロベル系のバッシュの出現で、サイズアップする人とダウンする人の二分化が進んだ印象。
自分はストロベル系はサイズアップしたいことが多い派。
と言うのも普段からスーパーフィートのグリーンなどが基準でアーチが立っているタイプの足(ノーマルアーチ)は、ストロベル系を履くとアーチが引き伸ばされて足長が伸びる。
ローアーチや偏平足の場合は、アーチの変化なく、ただただ真っすぐ沈むので中に空間が生まれる。
外アーチが効かずハイアーチになっている足も後者のパターンに含まれると思います。
ちょっと脱線しましたが、今作のサイズはノーマルアーチの方はハーフサイズ(0.5cm)アップ、それ以外の方はマイサイズのまま、もしくはハーフサイズ(0.5cm)ダウンがオススメになります。
ノーマルアーチの方が「スーパーフィートのグリーン」に替えるとアーチを立たせたまま使えるので、スーパーフィート交換前提ならマイサイズのままで良いかと。
※インソール交換はスコアに含めていません。
SUPPORT - 8 / 10
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。
クッション過剰で少し疲れやすい感覚がある以外はサポートは問題なし。
フォア寄りのまま履き続けたら小指は削れて無くなっていたと思いますが。。
このカラーだけかもしれませんがミッドソールもけっこうソフトなため、捻挫癖がある方にはヒールの安定性は懸念材料になるかもしれません。
この辺りは体感によるところなので店頭試着をオススメします。
LATERAL TRANSITION - 7 / 10
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。
左右方向での細かいステップではズームエアが反発ではなく、邪魔に感じることがしばしば。
トラクションは効くので何とかなりますが、良くて及第点レベルのトランジションです。
HEEL-TOE TRANSITION - 8 / 10
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。
左右方向よりはクッションの影響は少なめ。
ソール剛性の加速は使えませんが、ズームエアの反発のみの推進力は得れます。
得に垂直ジャンプや決まったムーブなど溜めを自分で作れるシチュエーションでは快適に感じるトランジションかと。
BREATHABILITY - 10 / 10
通気性能。 通気が良いほど高評価。
TPUリボンはメッシュスクリーン、網戸のような感じでかなり通気します。
しかもフォアにインナーブーツが入っていないので、トーボックス周りも通気口に。
通気性にこだわるプレイヤーは自信を持ってオススメできる仕様です。
DURABILITY - 7 / 10
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。
TPUリボンが伸びるとの声がありますが、おそらくクッションが沈んだことでサイジングが緩くなり、足がシューズ内で遊ぶパターンかと。
色んな人のサイジングを見てきた経験からアッパーにダメージが来るのはサイズが合っていないパターンが9割~なので、ソックスで調節などすればTPUリボンは大丈夫でしょう。
それより今作で気を付けるべきは「インソールの糊」。
かなり大量に塗られているので新品の段階で処理しないと後々取り除くのは困難、と言いますか無茶するとズームストロベルを傷付けることになりかねないのでご注意を。
アウトソールのラバーはXDRでなくトランスルーセントなので、やや摩耗は見られましたが許容範囲でしばらくは保ちそうです。
WEIGHT - 10 / 10
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。
約383g(片足・27.5cm)
Final Conclusion
今作をまとめますと「フロントコート向け2.0」。
前作エアジョーダン35でも同じことを言いましたが、同じ系統のバッシュに感じました。
接地感の強い、硬質なクッションを持った「素足感覚」がエアジョーダンシリーズのオリジナルコンセプトだったはずですが、近年はだいぶ乖離が進んでますね。
細かいステップやアジリティを発揮するには向かず、大きなストライドで少ないステップでプレイを完結できるプレイヤーに向いているでしょう。
インサイドプレイヤー以外では、あまりドリブルを使わないシューターも快適に感じる可能性があるかなと。
NBAを観ていると、ニックスのケンバ・ウォーカーやジャズのマイク・コンリーなど今作を履いた小さいプレイヤーは軒並みパフォーマンスを落としていた印象です。
もちろん怪我や年齢の影響もあるはずなので、あくまで可能性の話ですが。
向き不向きがハッキリしているパフォーマンスで、是非お試しを、とは気軽に言い難いですが、もし購入検討している方はサイズ選びにはくれぐれもご注意を。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございましたm(__)m
[caption id="attachment_6600" align="alignnone" width="2000"] Mar 19, 2022; Washington, District of Columbia, USA; Los Angeles Lakers forward LeBron James (6) drives to the basket on Washington Wizards forward Rui Hachimura (8) our g the first half at Capital One Arena. Mandatory Credit: Tommy Gilligan-USA TODAY Sports[/caption]
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TRACTION - 9/10
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CUSHIONING - 7/10
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COURT FEEL - 7/10
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FIT/LOCKDOWN - 8/10
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SUPPORT - 8/10
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LATERAL TRANSITION - 7/10
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HEEL-TOE TRANSITION - 8/10
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BREATHABILITY - 10/10
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DURABILITY - 7/10
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WEIGHT - 10/10