
- テストカラー:Nike By You "South Beach"(DA7567-991)
- 主な機能:Nike Zoom Turbo, Phylon Midsole, Forefoot Inner Bootie, TPU Internal Heel Counter
- 着用した主なプレイヤー:Kyrie Irving, Nikola Vucevic, Collin Sexton
- 価格:¥17,050・$130
Introduction
今回はKyrie Irving(カイリー・アーヴィング)の7thシグネチャー"Nike Kyrie 7"のパフォーマンスレビューです。
今一番のお気に入りである"Kyrie 5"と同じスペック且つシルエットも近い今作。
近場のショップでEPラストを試着した感覚も悪くはなく、グローバルなら間違いないだろうと正月のセールでNike By Youをオーダー。
普段は必ずアウトソールに選ぶ「ホワイトソリッド」を敢えて避けてデザインしてみました。
さてどうなりますか。早速細部を見ていきたいと思います。
TRACTION - 9 / 10
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。
かなりアレンジが加えられた「ヘリンボーン・パターン」のアウトソール。
ラバーは「ピンクブラスト」と呼ばれる「トランスルーセント」。
質感はかなり粘性が高くソフトで、粘り気も強めです。
スキール音は鳴らず、無音でグリップするタイプ。
ラバーもホコリに強い性質で、パターンも深いため、ほとんど拭く必要はありません。
ですが体重を掛けたステップではその深さが仇になり、パターンがヨレて遅れを感じます。
これが起きるのはフォアの部分で、ミッドソール自体も同時にブレている感があるので、ディフェンス時にこれが起きた際はほぼ確実に抜かれてしまいます。
計算に入れて動けば大丈夫かな?と思って色々と試しましたが…扱い切るのは難しいと言う結論に至りました。。
”NikeKyrie 2 EP”がこれに似た感覚で扱い辛かったのを思い出しました。
まあKyrie 2はラバー自体のトラクションも弱かったので、あれに比べたら今作の方がマシですかね。。
ともあれソリッドや他カラーのトランスルーセントなら違う可能性はあるので、もし"NIKE BY You"でカスタマイズを検討中の方は「ピンクブラスト」は避けた方が良いかと。
追記;
上記はソックス2枚でジャストサイズで履いた場合の感覚でした。
レビュー完成後、ふと「ソックス1枚」で履いていない事に気付き、先日トライして来ました。
するとソールへの押し込みが弱まり、パターンのヨレは一気に少なくなり快適にプレーできるようになりました。
どうやらこの厚めのクッション + アウトソールにはジャスト履きだと普通の置くステップでも強く押し込み過ぎてしまっていた様です。
一点注意して頂きたいのはこのソックスを減らす(捨て寸を大きめに取る)際に「高さ」が余っていない事がポイント。
捨て寸を取る事で高さが余ってしまったらトータルのプラスマイナスでマイナスになってしまうかもしれません。
CUSHIONING - 8 / 10
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。
「ファイロン・ミッドソール」と、そのフォアフットに「ズームターボ」を埋め込んだクッションセットアップ。
(ズームターボの詳細は"Nike Kyrie 5 SBSP"のレビュー参照)
ミッドソールのフォア部分はアウトソールでケージされていて、前後のクッションバランスはやや後傾。
試着したEPラストは後傾がもっと強かったので、今までのグローバルラストと同様、EPラストよりミッドソールが厚めになっている模様。
厚めと言ってもKyrie 5に比べると薄めで、その代わり今作はアウトソールのパターンが深く、トータルのクッションの厚さではほぼ同じになっています。
さて、肝心の乗り心地ですが、先にトラクションで述べたようにアウトソールのヨレが気になる訳ですが、吸収性の観点からはこれはプラス。
ファイロンもかなり密度が低くなり、吸収性に寄せた仕様です。
加えてシャンクプレートが入っていないため、中足部の沈みも感じます。
吸収性がほしい方には嬉しい仕様かと。
反発性に関しては…なかなか言語化が難しい仕様。。
ケージされたフォアの屈曲剛性は強く、Kyrie 5の加速力には及ばないものの、前方向やその場でジャンプなど縦のムーブはスムーズ。
一方、左右方向と言いますか、少し角度が付くと「フォアのブレ」に加えて「中足部の沈みと捻れ」から遅れを感じるシチュエーションが多々。
沈みと捻れに関しては物理的には微細ですが、足のアーチも崩れやすくなり、一瞬の動きには大きく影響して来ます。
シューズのフォアとヒールが別々の動きをすると言ったら良いでしょうか。。
スーパーフィートのグリーンに替えれば沈みと捻れは多少改善されましたが、それでもKyrie 5には遠く及びません。
(実はKyrie 5もシャンクプレートは入ってませんでしたが、代わりにアウトソールが巻き上がりが捻れ剛性を担保していました)
インソール交換をスコアに反映させたとしても8点が限界かと思います。
追記;ソックス1枚に替えたらクッションも大幅に改善。
ドライブの落下や加速局面などフォアのみで強いステップを踏む時には捻れの弱さやパターンのヨレはまだ気になりますが、それでも足首に痛みが出たりなどと言う事は解消されました。
COURT FEEL - 8 / 10
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。
追記;
接地感に関してもソックスを減らして大幅に改善されました。
厚いアウトソールに乗っている感は残るものの動きの中でも接地タイミングはイメージに近い感覚に。
FIT/LOCKDOWN - 9 / 10
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。
「フォアフット・インナーブーティー」をメッシュを張ったテキスタイルのフューズアッパーが包み、シューレースホールの下2列には「ブレード」が配置されています。
"Nike Kyrie 4"以来のシンプルな構造で、履き口は大きく拡げることが出来て足入れも簡単。
フューズも薄くしなやかで、足当たりが気になることは無いかなと。
タンやヒール周りのパディングは上部が厚く、こちらはシューレースを締めるとしっかり足にフィットしてくれます。
足底周りの下部は薄めで、クッションも沈むので、足底の横には空間を感じます。
フォアは一転してややタイトめの幅で、しっかりとフィットしてくれます。
この辺りは"Nike Kyrie 6"のグローバルと同じで、フォアとヒールが少しチグハグな印象。
とは言え基本的なポイントは押さえていて悪くないアッパーかと。
※問題はソールとクッションの方なので…
追記;
ソックス1枚に替えて沈みも動きの中で捻れて出来る空間も少なくなりました。
※※※サイズ選びに関して※※※
今回は普段のマイサイズ、グローバルラストの"27.5cm"を購入しました。
普段のソックス2枚で高さと長さは問題なくフィット。
幅に関しては、フォアが狭くヒールが広い仕様です。
追記;普段ソックス2枚の方は、ヒールの幅を余らせてでも「ソックスを減らしてマイサイズ」がオススメ。
普段ソックス1枚でジャストサイズで履いている方は「ハーフサイズ(0.5cm)アップ」推奨。
また普段から捨て寸を多めに取っている方はマイサイズのままで快適に履けると思います。
EPラストは試着だけですが、ハーフダウンの27.0cmでもギリギリ履けそうな感覚でした。
追記;
EPラストに関しては、クッションも薄くなるのでかなり想像が難しく、アドバイスできません。
試着必須とさせてくださいm(__)m
SUPPORT - 8 / 10
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。
フォアの横ブレは大きくないものの、長時間の使用では足首に痛みが出ました。
また中足部の沈みは現状は大丈夫ですが、長期の使用では足底に負荷を掛ける可能性があります。
追記;
捨て寸大きめに取れば痛みも出なくなりました。
それでもまだ細かい沈みやねじれは起こるのでインソール交換推奨は変わりません。
※インソール交換はスコアに含めていません。
LATERAL TRANSITION - 8 / 10
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。
HEEL-TOE TRANSITION - 9 / 10
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。
BREATHABILITY - 7 / 10
通気性能。 通気が良いほど高評価。
DURABILITY - 7 / 10
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。
WEIGHT - 10 / 10
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。
Final Conclusion
アタリハズレが大きいKyrieシリーズに於いて、今作は残念ながら「後者」でした。
"Nike Kyrie 2"も同じ様にフォアがブレて低評価にしましたが、当時レビュー公開後、「体重が軽い方」から全然ブレなくて快適との声がけっこうありました。
なので今作も軽量級(~60㎏)のプレイヤー向けなのかもしれません。
Kyrie本人のプレーぶりを見ると関係なさそうですが、彼が履いているのはPEですし、毎試合新品が用意されるので比較にはならないですかね。
正直機能・コスパどちらの観点からも、前作"Nike Kyrie 6"を狙った方が得策に思います。
もしくは"Nike Kyrie Low 3"が国内でもグローバルラストの発売があり、試着した感じではそちらの方がハイパフォーマンスの可能性を感じました。
自分の住んでる辺境の店舗でも置いていたので、近くのショップをチェックされてみては。
私ももしかしたらトライするかもしれません。
追記;
実は「アタリ」の部類でしたね。。そしてもはや追記と言うより完全にリライト、書き直し。。
ソックスひとつでそれくらい表情の変わるバッシュでした。
基本強く地面、シューズを押せるほど速く走れて、高く跳べるものですが、間に入っているシューズの性質によっては抑えた方が良いこともあると良い勉強になりました。
練習用としては申し分なく、インソールを変えれば試合用にもギリギリ行けそうな感覚です。
正直、同シーズンに発売された今作のテイクダウンモデル”Nike Kyrie Low 4”の方がハイパフォーマンスですが、メインシグである今作も悪くないバッシュでした。
NBAで着用率が高いことも、かなり長い時間掛かってようやく頷けました。
国内展開のEPラストのパフォーマンスは予想し辛いですが、少なくとも耐久性あるXDRが使われていますし、パターンも深いので、アウトドアでの使用を考えている方は検討しても良いかと。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
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TRACTION - 9/10
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CUSHIONING - 8/10
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COURT FEEL - 8/10
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FIT/LOCKDOWN - 9/10
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SUPPORT - 8/10
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LATERAL TRANSITION - 8/10
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HEEL-TOE TRANSITION - 9/10
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BREATHABILITY - 7/10
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DURABILITY - 7/10
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WEIGHT - 10/10