Jordan Jumpman Pro Retro(2017) Performance Review
- テストカラー:Taxi(906876-032)
- 主な機能:Forefoot Zoom Air Unit, Heel DHIP(EVA Crash Pad), Phylon Midsole, TPU Internal Heel Counter, TPU Shank Plate
- 着用した主なプレイヤー:Joe Johnson, Mike Bibby, Ray Allen, Kevin Garnett
- 価格:¥-(国内)・$140(海外)
Introduction
今回は"Jordan Jumpman Team Pro"(ジョーダン・ジャンプマン・プロ)の「2017年復刻」のパフォーマンス・レビューです。
前回レビューした「2009-10年復刻」は歴代最高タイの93点でした。
その続編という形で、比較しながら細部を見ていきたいと思います。
TRACTION - 10 / 10
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。
「2009-10年復刻」と同じくオーソドックスな「ヘリンボーン・パターン」をベースにしたアウトソール。
ラバーの質・配合も相変わらず素晴らしく、ホコリの影響も感じません。
アグレッシブな加速感あるトラクション、パーフェクトです。
CUSHIONING - 7 / 10
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。
クッションも変わらず「ファイロン・ミッドソール」に「フォアフット・ズームエア」と「ヒールDHIP」を組み合わせたクッション・セットアップ。
リマスターにより期待された「フルレングス・ズームエア」と「カーボンファイバー製シャンクプレート」の復活の夢は叶いませんでした…。
シャンクプレートも「2009-10年復刻」と同じTPU製のままです。
一見するとスペックは「2009-10年復刻」と同じですが、見えない部分で変更点があります。
致命的に違うのが「ファイロンの質感」。
かなりソフトになり、数回の使用ですぐにヘタってしまいます。
足裏の重心移動をアウトソールに上手く伝達するのがファイロンの大きな役割の1つです。
へたった状態ではその伝達が上手くいかず、アウトソールにダイレクトに乗っているかの様な感覚。
またアッパーのタンブルレザーがかなり硬く、フォアの屈曲部分のナチュラルな可動を妨げている印象。
これらにより「重心移動・アッパーの変形・ソールの変形」がうまく連動しません。
アウトソールとシャンクの剛性は「2009-10年復刻」と変わらず強力なままですが、その剛性が半分も活かせない設計です。
扱いにくい剛性で"UA Curry 2.5"や"Air Zoom Flight 96"に似ています。
トータルすると衝撃吸収性・反発性ともに平均レベル…。
最低でも「2009-10年復刻」と同等のクッションを期待していただけに、この仕様は残念でなりません。。。
COURT FEEL - 9 / 10
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。
クッションは物理的に薄くなったことは接地感にはプラス。
ミッドソールがへたる事により体重移動がスムーズに伝わらなくなった事はマイナス要因です。
マイナス要因の影響の方が大きいので「2009-10年復刻」よりはスコアは下がります。
それでもトラクションの素晴らしさ、ソールの安定感、接地面積の大きさは変わらないので、トータルでは優秀なレベルかと。
FIT/LOCKDOWN - 9 / 10
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。
アッパーの素材はカラー毎に異なるのは「オリジナル」の頃から変わりません。
この"Taxi"はヌバックとタンブルレザーの組み合わせです。
タンブルレザーのパディングと、タンのラバーバンドは今作もしっかり付いています。
大きな変更点としてはタンの面積が見直され、大きくなっている事。
これにより「2009-10年復刻」で問題だった「タンのズレ落ち」は今作では全く起きません。
さらに履き口周りのパディングも増量され、より幅広い足型のプレイヤーに対応できる設計です。
ただタンブルレザーはかなり硬いものに変わっていて、トゥーボックスの成型は少し高くなった印象。
20回は履きましたが、未だにカチカチ。
個人的には気にならない部分ですが、足型によっては馴染むまで屈曲部分の足当たりが気になる可能性があるでしょう。
※サイズ選びについて※
アッパーの成型は「2009-10年復刻」とトゥーボックスの高さ以外はほぼ同じです。
その高さとクッションが薄い事が合わさり、内部の空間は全体的に大きめになっています。
今回はインソールを交換しても埋まらないほどゆとりがあったため、ハーフダウンの27.0cmを買い直してちょうど良かったです。
なので「通常サイズからハーフサイズダウン」がオススメです。
SUPPORT - 10 / 10
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。
LATERAL TRANSITION - 10 / 10
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。
HEEL-TOE TRANSITION - 8 / 10
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。
前後方向ではトラクションと重心移動がうまく連動しません。
とは言え普通のバッシュよりは良いトランジションです。
「2009-10年復刻」の加速感には遠く及ばないだけです。
左右方向のクロスオーバーは無駄な力を使わず高速で行えますが、そのあとのドライブやジャンプでは余計な力が要ります。
BREATHABILITY - 7 / 10
通気性能。 通気が良いほど高評価。
DURABILITY - 9 / 10
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。
タンブルレザーはかなり硬質で頑強。
アッパーの耐久性に関して今作は「2009-10年復刻」以上かと。
ヒールサイドのダメージは5年使ったあとでしたので、今作もそれくらいの期間は大丈夫でしょう。
今作で問題なのはファイロンのソフトさ故、ヘタリが早い事。
新品の状態では反発性も快適でしたが、2回目の途中で大きく感覚が変わりました。
ヘタッた状態でも良いバッシュですが、やはり「2009-10年復刻」を知っていると不満に感じてしまいます。
WEIGHT - 8 / 10
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。
Final Conclusion
個人的に「人生最高のバッシュ」である「2009-10年復刻」の"Jumpman Pro(ジャンプマンプロ)"。
それを超える可能性もあっただけに、やはり今作のパフォーマンスにはガッカリしました。
まあこれは最近の傾向なので、可能性の1つとして覚悟はしていました。
ネットで上がるレトロモデルに対する注文というかクレームは、主に「アッパーのレザーの質」と「エアの感触」の2点。
特に後者の「エアの感触」を高めるために、ナイキやジョーダンブランドが採っている方策が「ミッドソールをよりソフトに、より薄くする事」。
これなら確かにミッドソールがエアより沈むため、足裏にエアの感覚はしっかりありますが、感覚があるだけでバッシュの機能としてはマイナス面が大き過ぎます。
最初はエアとミッドソールのバランスが取れているように感じますが、少し履くとミッドソールがヘタって「エアだけに乗っている状態」に。
最近ですと"Zoom Rev"、レトロだと"Air Jordan 12 Retro"、"Air Jordan 13 Retro"、"Air Jordan 14 Retro"、"Air Jordan 11 Retro"のスペースジャムでこの現象が起きました。
特にスペースジャムがフルレングス・エアなのでミッドソールがヘタると、バッシュの安定性が失われてしまい今までのレトロとは程遠いパフォーマンスに…。
ミッドソールを軽視するこの傾向には本気で警鐘を鳴らしたいです。
「カジュアルシューズ」扱いで売られているモデルに注文を付けるな、と言われそうですが。
もし昔のミッドソールで"Jumpman Pro(ジャンプマンプロ)"を復刻してくれていたら10足は買ったのになぁ。。。
長々と語りましたが、この「2017年復刻」もスコアの通り「かなり良いバッシュ」です。
過去の"Jumpman Pro(ジャンプマンプロ)"を履いた事が無ければ、パフォーマンスには満足できると思います。
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TRACTION - 10/10
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CUSHIONING - 7/10
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COURT FEEL - 9/10
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FIT/LOCKDOWN - 9/10
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SUPPORT - 10/10
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LATERAL TRANSITION - 10/10
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HEEL-TOE TRANSITION - 8/10
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BREATHABILITY - 7/10
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DURABILITY - 9/10
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WEIGHT - 8/10