AND1 Rise Mid (2023) Performance Review
- テストカラー:White/Navy Blue(AD90019MWD)
- 主な機能:Duraspring,TPU Shank Plate,TPU Internal Heel Counter,TPU External Heel Counter
- 着用した主なプレイヤー:Chauncey Billups
- 価格:¥-・$110~120
Introduction
今回は最近復刻された"AND1 Rise Mid(アンドワン ライズミッド)"のパフォーマンスレビューです。
バッシュ業界では長らく存在感の薄かったAND1が、創業30周年に当たる2023年に突然の再始動。
今の若い世代には馴染みが薄く、ブランド自体を知らない方も多いと思われるので軽くブランドの説明から入ります。
AND1と言えば何と言ってもまずは"Tai Chi Mid(タイチミッド)"。
あの伝説の2000年NBAスラムダンクコンテストでビンス・カーターが着用した事で人気が爆発。
同時にストリートバスケのハイライトをまとめたミックステープも大ヒットし、AND1は一躍トップブランドの仲間入り。
2000年代前半は、一般はもちろんNBAでもAND1のバッシュを履く選手が多く見られました。
そのブランド最盛期に発売されたのが今作ライズミッド。
今作を有名にしたのは当時デトロイト・ピストンズ所属PGのチャウンシー・ビラップス。
2004年のNBAファイナルで今作を着用し、レイカーズを撃破。ファイナルMVPにも輝きました。
レイカーズがシャック、コービー、カール・マローン、ゲイリー・ペイトンと殿堂入り4選手を要する強力なロスター。
戦前予想もレイカーズ優勝派が圧倒的で、逆にピストンズが圧倒する結果となった事はかなり衝撃的に捉えられていた記憶です。
もちろんライズミッドも大人気となり、一時期どこのバスケに行っても一人は履いているほどの普及ぶり。
自分もオリジナルはかなり履いたので、ところどころに比較を交えつつ細部を見ていきたいと思います。
TRACTION - 9 / 10
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。
中央部分は「ヘリンボーン・パターン」、エッジ部分は「パターンの無い」アウトソール。
※新品段階のエッジは細かい粒状のパターンがありますが、摩擦ですぐに消えるため便宜上パターン無しとしています。
ラバーは全面が「ソリッド」。
白ソリッドは硬めで、粘着性は通常レベル。
紺ソリッドは同じく硬めで、粘着性はやや低め。
ホコリの吸着はそこそこありますが、一度拭けばしばらくの間パフォーマンスは維持されます。
スキール音は適度に鳴り、制動距離もナチュラルで基本扱いやすいトラクションに仕上がっています。
気になる点としては、フォアの先端、足指部分をピンポイントで使った場合のみ、ズズズ…と滑りを感じます。
原因としてはクッションがオリジナルよりソフトになっていて押し込みのエネルギーを相殺してしまう事。
ソフトになった結果ソール剛性もソフトになっていて、体重が乗るより速く、転がるように荷重点が前方に抜けて行く事も影響しています。
限られたシチュエーションでの影響なのでスコアは高め。正直オリジナルよりもよくグリップしてくれる印象です。
オリジナルはクッションがもっと硬く、その影響でエッジ部分も異様に硬く、フロアと喧嘩し、角度によってはツーと大きく滑る事がたびたびありました。
今作を履いたビラップスも実際NBAファイナルのゲーム内で何度かその滑り方をしていたので、気になる方はYouTubeでご確認を
CUSHIONING - 8 / 10
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。
「デュラスプリング・ミッドソール」をアッパーで完全に覆う「ダブルラスト」のクッションセットアップ。
デュラプスリングはAND1の初期モデルには多用されていたフォーム素材。
ナイキで言うところのポリウレタンに近い素材で、オリジナルでは重さがある代わりに反発もある仕様でした。
今回復刻でも名称はそのままですが、実際はよりソフトなフォームに変更されています。
幸い変更幅は小さめで、やや沈みが増え、ソール剛性がソフトになった程度。
ダブルラストでミッドソールに逃げ場が無い事も変化幅が少なかった要因の一つかと。
※あくまでも要因の一つで、ミッドソールの質感を変えて、加えて注入量を減らされたらパフォーマンスは大きく変化します。
※例えばアディダスのレストモッドみたいな。。。
⇒ADIDAS T-MAC(TMAC) 2 RESTOMOD (2021) PERFORMANCE REVIEW
オリジナルの加速感のある高反応なクッションとテイストは少し違いますが、これはこれで扱いやすくアリです。
注意点としてはやはり「サイジング」。
ジャストで履くと、シューズ内で足がかなり後傾してしまい不快でした。
捨て寸多めで(自分の場合は普段がソックス2枚なので、1枚に減らして)履くと、ほぼフラットに近付きます。
また足入れしてしばらくはやや母指球のクッションの主張だけが異様に強くアンバランスに感じるはずなので、これも注意すべきポイントです。
履いて少し時間を置くと体温でクッションがソフトになり、よりナチュラルな乗り心地に変化します。
特に寒い日に試すと誤解する可能性が高いので、慎重に履き心地確認をオススメします。
※市販のインソール「スーパーフィートのグリーン」はやや後傾クッションの改善に役立ちます。ただトーボックスの高さに余裕が生まれるデメリットもあります。
※"Nike Zoom BB NXT"の「リアクト・インソール」はスーパーフィートで生まれるトーボックスの高さを埋めつつ、後傾を改善してくれるのでこちらの方が良さそうです。
※「スジオカボード」を純正インソールの下に入れると、オリジナルの加速感あるクッションにかなり近付きます。
※体感では「リアクトインソール」と「スジオカボード+純正インソール」が同列で好感触でした。
※インソール交換とボード追加は評価に含めていません。
※ソックス交換は評価に含めています。
COURT FEEL - 9 / 10
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。
クッションは適度な厚さで、サイジングさえ間違えなければバランス取れた状態で履けます。
またクッションが体温で変化するまで待ってからプレーすれば、常にしっかりした接地感を得られるでしょう。
FIT/LOCKDOWN - 9 / 10
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。
「独立タン」を「シンセティックレザー」のアッパーが包む、一見するとクラシックなセットアップ。
通常と異なる点はアッパーがミッドソールを完全に覆う「ダブルラスト」であること。
更にそのアッパーをヒールカウンターから繋がる「TPUシャーシ兼サイドウォール」が覆っています。
タンはシューズ内部で底面、ストロベルボードと2本の「ラバーバンド」で繋がっています。
履き口は大きく拡がり、足入れは簡単。
シューレースを締めてみると少し違和感が。。。
よく見ると通し方が外から中への「オーバーラップ」。
市販のバッシュの大半は逆の「アンダーラップ」なので珍しい仕様です。
オーバーはシューレースホールが点で足を抑える印象で、アンダーはシューレース全体が面で抑える印象。
個人的には面でフワッと抑えて欲しいのでアンダーに変更しました。
変更後はフィットもロックダウンも良好。
フィットに影響しがちな「サイドウォール」もしっかりアッパーと連動して動き、強度アップにだけ貢献している点も大きなプラス要因。
アーチサポートは少し低めですが許容範囲。
もちろん捨て寸を多めに取る事が大前提なので気を付けて下さい。
※※※サイズ選びに関して※※※
AND1はすべてグローバルラストの展開で、マイサイズである「27.5cm」を購入。
最初は普段のソックス2枚でほぼジャストかと思いましたが、前述のとおり足指が浮いて後傾がキツくなってしまいます。
自分の場合はサイズはそのままソックスを1枚減らすことで好感触に。
普段ソックス1枚で履かれている方はハーフサイズ(0.5cm)アップを基本に考えた方が良いでしょう。
ただし元々捨て寸大きめに取っている方の場合はマイサイズのままで良い場合もあるのでその辺りはご自身で判断頂ければと思います。
※インソールをリアクトやスジオカボードに変更した場合でも、サイズはそのままで問題ありませんでした。
オリジナルではもっとアッパーの幅も高さもタイトで、ナイキやジョーダンブランドからもハーフサイズ(0.5cm)アップ、場合によってはフルサイズ(1.0cm)アップ案件でした。
今作は他ブランドに寄せたサイジングになっていて、消費者としては嬉しい仕様変更かと。
SUPPORT - 9 / 10
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。
TPUのサイドウォールはシャーシとヒールカウンターも兼ねていて、ソールの安定性も捻れ剛性も十分。
捨て寸を少なく取ってしまうとつま先を痛めたり、滑って負傷する可能性がありますが正しいサイズを選べば信頼できるサポート性を得られるでしょう。
LATERAL TRANSITION - 9 / 10
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。
左右方向のステップではサイドウォールの助けもあり、捻れ剛性も強力。
エッジ部分が硬質なので、人によってはこの部分が違和感となるかもしれません。
ただこのエッジを味方に出来ればかなり鋭く動けます。
HEEL-TOE TRANSITION - 9 / 10
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。
捨て寸をあまり取らずに履いた段階での前後方向はかなり絶望的に感じましたが、サイジングを見直してからは快適そのもの。
加速感があるわけではありませんが、終始スムーズです。
BREATHABILITY - 6 / 10
通気性能。 通気が良いほど高評価。
メインの通気口になるべきタンもレザーが使われ、通気性はライニングの生地に一任した仕様。
あまり足から汗をかかない質なので特に気になりませんでしたが、多汗の方は要注意かもしれません。
DURABILITY - 8 / 10
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。
懸念点としてはデュラスプリング、ミッドソールのヘタリくらい。
オリジナルはデュラスプリングがより硬質だったため、かなり長持ちした記憶。
今作では質感が変わっていますが、アッパーとTPUシャーシで完全ケージされているので比較的長く履けるかなと思います。
WEIGHT - 8 / 10
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。
497g(片足・27.5cm)
Final Conclusion
今作をまとめますと「完全復活」。
AND1の本気度が伝わってくる仕上がりで、今後の展開への期待値がかなり上がる結果となりました。
オフィシャルサイトをみるだけでも夏や冬に複数パフォーマンスモデルのリリースがありそうなので要注目です。
ナイキやジョーダンがエアストロベルやズームストロベルばかりで自分には履けるモデルが限られるため、今年はもしかしたらAND1モデルを多めに追う事になるかもしれません。
現状国内での展開はありませんが、AND1 USAは日本発送も対応していて、送料も比較的安いため気になる方は是非狙ってみては。
⇒AND1 USA (国際発送はAmazon.com内のストアになるそうです)
今回も最後まで読んで頂きありがとうございましたm(__)m
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TRACTION - 9/10
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CUSHIONING - 8/10
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COURT FEEL - 9/10
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FIT/LOCKDOWN - 9/10
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SUPPORT - 9/10
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LATERAL TRANSITION - 9/10
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HEEL-TOE TRANSITION - 9/10
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BREATHABILITY - 6/10
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DURABILITY - 8/10
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WEIGHT - 8/10