adidas T-MAC(TMAC) 2 Restomod (2021) Performance Review

- テストカラー:Royal Blue(FX4064)
- 主な機能:Bounce Midsole, Torsion, Inner Bootie, TPU Internal Heel Counter
- 着用した主なプレイヤー:Tracy McGrady, Brandon Ingram, Jaylen Brown
- 価格:¥16,500・$130
Introduction
今回はTracy McGrady(トレイシー・マグレイディ)の2ndシグネチャー"adidas T-MAC 2 Restomod"のパフォーマンス・レビューです。
2002年のオリジナルから、実に19年ぶりに全世界で復刻された今作。
オリジナルは今まで数百履いてきたバッシュの中でもトップクラスのパフォーマンスを誇る「紛れもない名作」でした。
※自分がMcGradyの大ファンという事を差し引いても、です。
しかも比較的高頻度で履きながら、10年以上剛性が落ちず、ハイパフォーマンスを提供してくれるほどの耐久性もありました。
今作以外にも"The Kobe(現Crazy 1)"や"Team Mac 1"など2000年代初頭のadidasプロダクトは相当なハイクオリティで、自分の好みとも合致していました。
それから時代は流れ、今のadidasは自分の好みとは違う方向を向いていると重々承知しています。
なので今作がオリジナルからクッションに変更が施された"Restomod(レストモッド)"で発売されると聞いて、パフォーマンス低下を少なからず覚悟しました。
(Restomodこれは『Restore』と、『Modify』あるいは『Modernize』を組み合わせた造語だそう。改造+現代風にアレンジしたと言う意味で、Nikeの"Protro(プロトロ)"とほぼ同義かと。)
期待は持ちつつも正直オリジナルには、まあ届かないだろうと冷静な目で細部を見ていきたいと思います。
TRACTION - 7 / 10
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。
オリジナル同様に「ヘリンボーン・パターン」で全面が構成されたアウトソール。
ラバーが「ソリッド」単体であることも同様です。
粘性(変形のしやすさ)は高めで、粘着性もやや高め。
綺麗なコートでは大きめのスキール音が鳴り、クッションが沈む分だけ遅れるものの概ね快適。
粘着性があるだけにホコリには弱く、頻繁に拭く必要があります。
滑り方が少し特殊でソールのエッジ部分は滑らず残るのに、中央のヘリンボーン部分のみ滑る。
特に左右方向のステップでおかしな止まり方をします。
中央部分はクッションがソフト過ぎるため体重がイメージよりも乗らず、十分な摩擦を生めない感覚です。
捨て寸をフォアでなく、ヒールに取って履けば多少改善されますが、それでも反応は遅め。
オリジナルの信頼できるトラクションからは大きくダウングレードされています。
CUSHIONING - 7 / 10
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。
ミッドソールには「バウンス」が使われ、それをアッパーが覆う「ダブルラスト構造」のクッションセットアップ。
バウンスはソフトめの質感ながらソール剛性はしっかりしていて反発もなかなかで、初回の乗り心地は快適でした。
オリジナルの加速感には及ばなくてもこのスペックなら満足…と「初回」は思いました。
2回目以降の使用では一転してソール剛性が落ち、クッションがへたり切った感覚に。。。
通常ダブルラストはミッドソールの逃げ場が無く、通常セットアップよりも反発が強くなるものですが、今作の場合はバウンスが薄過ぎてソフト過ぎる模様です。
オリジナルではバウンスの部分に「アディプリーン・プラス」が使われ、ソール剛性も反発性も素晴らしく、アグレッシブなトラクションとも相まって最高クラスの履き心地でした。
最近のアディダスバッシュのクッション傾向から考えると、この違いは予想出来ていたので幸い精神的ダメージは軽度でしたが、単純にスペック的にしばらく履く気になれず放置。。。
2週間ほど経ってから再トライしてみると、不思議な事に新品に近い感覚に戻っていました。
おそらくダブルラスト構造のおかげでフォームが復元しやすくなっているのかと思われます。
復元とは言っても完全ではなく、この時の良い感覚は30分程度で消え、その次の使用ではより短時間に。。。
通常の練習だと保たないですが、シューティングやハンドリングなど短時間のワークアウトには良さそうなクッションです。
COURT FEEL - 7 / 10
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。
FIT/LOCKDOWN - 8 / 10
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。
「フルレングス・インナーブーティー」をパテントの「アッパー」が覆うセットアップ。
インナーブーティーにはラバーバンドが付いていて、足入れは比較的簡単です。
ここまではオリジナルと同様。
大きく異なる点は2つあり、1つ目は「ヒールカウンターの幅」が広いこと。
パディングが分厚いので相当カカトが細くない限り抜けることは無いと思いますが、ここをガッチリ掴んで欲しいプレイヤーは物足りなく感じるかもしれません。
2つ目は「高さ」。
クッションのヘタリ具合でシューズ内の空間が変化するため、プレー中にもシューレースを締め直す必要が出て来ます。
またこのヘタる分を計算に入れてないのか、シューレースは長過ぎて余るので、気になる方は交換した方が良いかと。
色々言いましたがクッション変化の影響が大きいので、アッパー自体の作りはほぼオリジナルに準じている印象です。
インソールを変えれば良くなるかと思いましたが、スーパーフィートはじめ他の市販インソールもこのクッションとは合わずでした。
自分の結論としては元から付いているポリウレタン製のインソールのまま使用が良いかなと思いました。
※※※サイズ選びに関して※※※
ナイキのグローバルのマイサイズ(27.5cm)からハーフサイズ(0.5cm)ダウンの"27.0cm"を購入。
最初はいつものソックス2枚でジャストに感じましたが、クッションのヘタリに連れて中のスペースは広くなり、10回ほど使った段階ではもうハーフサイズダウンしても良いかも、と思うほどに。
微妙なラインなので基本ハーフサイズダウンでソックス調整が無難かと思います。
SUPPORT - 8 / 10
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。
LATERAL TRANSITION - 7 / 10
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。
HEEL-TOE TRANSITION - 8 / 10
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。
BREATHABILITY - 6 / 10
通気性能。 通気が良いほど高評価。
通気性はオリジナルよりはパテント
DURABILITY - 7 / 10
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。
WEIGHT - 7 / 10
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。
494g(片足・27.0cm)
Final Conclusion
なかなかに残念なパフォーマンスですが、心の準備は出来ていたので精神的ダメージはそれほどありません。
青が淡くなっていたり、ヒールのプラバーツが安っぽくなっていたりとデザイン面も何故か諦めがつきました。
余りにも長い間待たされ過ぎたことで復刻が実現しただけで満足しているのかもしれません。
(※全世界での復刻は今回が初ですが、2007年頃に中国限定で復刻があり、その復刻で既に機能低下を体験していたことも一因です)
幸い"TMAC 1"と"TMAC 3"の復刻は、まだオリジナルに近いパフォーマンスを維持してくれているので、プレー用でT-MACモデルを履きたい場合はそちらをオススメします。
また今作のテイクダウンモデル扱いの"Return Of The Mac(リターン・オブ・ザ・マック)"と言うモデルが海外では断続的に発売されていて、正直あちらの方が今作よりハイパフォーマンスかと。。
"Return Of The Mac"のレビューデータは破損したため未アップですが、今作の結果を受けてやはり買い直して再トライする可能性が増しました。
…これ以上書いてもボヤキばかりになりそうなのでこの辺で終わります。
最後まで読んで頂きありがとうございましたm(__)m
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TRACTION - 7/10
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CUSHIONING - 7/10
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COURT FEEL - 7/10
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FIT/LOCKDOWN - 8/10
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SUPPORT - 8/10
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LATERAL TRANSITION - 7/10
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HEEL-TOE TRANSITION - 8/10
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BREATHABILITY - 6/10
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DURABILITY - 7/10
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WEIGHT - 7/10