Nike PG 1 EP Performance Review
- テストカラー:Fecocity, The Bait(878628-417)
- 主な機能:Hyperfuse, Dynamic Flywire, Full-length Inner Bootie, Forefoot Zoom Air(Bottom Loaded), Forefoot Strap, Phylon Midsole, TPU Shank Plate, TPU Internal Heel Counter
- 着用した主なプレイヤー:Paul George, Avery Bradley, George Hill, Jrue Holiday, Courtney Lee, Jameer Nelson, Brandon Jennings, Kentavious Caldwell-Pope
- 価格:¥16,200(国内)・$110(海外)
Introduction
今回はPaul George(ポール・ジョージ)の1stシグネチャー"PG 1 EP"のパフォーマンス・レビューです。
ナイキとしては3年前のKyrie Irving(カイリー・アーヴィング)以来の新シリーズ展開。
本当はもっと早く発売されるはずでしたが、USA代表のエキシビジョンゲームで負った骨折の影響で今年まで延期されました。
延期された分だけデザイン案をじっくりと練る事できたらしく、ポール・ジョージ本人もかなり納得のファーストシグに仕上がったようです。
細かいデザインの説明は省きますが、機能的にはジョージのお気に入りである"Zoom Crusader"をベースに考えたとの事。
それでは早速細部を見ていきたいと思います。
TRACTION - 9 / 10
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。
ジョージの趣味である釣りからインスパイアされた「スケール・パターン」のアウトソール。
スケール=鱗(うろこ)です。
スケール部分をよく見ると細かいブレードが並んでいます。
ブレードは前後左右両方にグリップするよう配置され、かなりソフト。
1点気になったのは、フォアフットの変形。
フォアのクッションは厚みがあり、全体重を掛けてもズームエア部分だけ十分に沈み切りません。
この厚みに対してアッパーがソフト過ぎ、時折ブレてトラクションにも影響して来ます。
体重の軽いプレイヤーほどブレは少なくなる傾向にあるようなので、その点も同じ。
XDR(Extra Durable Rubber)の粘性は高く、ホコリには強い仕様。
クッションの設計で損をしていますが、ラバーとソールパターンだけなら文句なしの素晴らしいトラクションです。
CUSHIONING - 7 / 10
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。
「ファイロン・ミッドソール」のフォアフット底面に「ズームエア」を埋め込んだクッション・セットアップ。
ファイロンの質感はソフトで薄く、ヒールの衝撃吸収性は必要最低限か、それ以下。
"Jordan Super.Fly 4"の様にフォアフットのズームエアが張り出したソール形状で、体重を掛けると沈むように設計されています。
沈むのは主にソールのラバーとブレードの部分。
ズームエアらしい感覚はほぼ無く、全体重を掛けても「何か」に乗っているという感覚のみ。
衝撃は十分に吸収してくれますが、予想よりフォアのクッションは硬めです。
フォアのクッション同様に、ソール剛性も予想より強めで、変形・屈曲からの復元も速め。
フォアの方が高く、ヒールが低いクッションは動き出しには不利な作りですが、一度動き始めてしまえばそのあとは概ね快適。
この感覚は"Kyrie 2"や"Kyrie 3"とほぼ同様。
異なるのはクッションの効く方向。
"Kyrie 2"と"Kyrie 3"は左右方向に強く、今作は前後方向に強い仕様になっています。
クッションの厚さが原因のブレから、左右方向では遅れる事がしばしば。
フォアが高くなったクッションが好きなプレイヤーであれば今作のクッションはスコア以上に感じるでしょう。
私は苦手です…。
COURT FEEL - 8 / 10
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。
FIT/LOCKDOWN - 9 / 10
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。
ネオプレン素材のフルレングス・インナーブーツをベースに、シンセティック・レザーとメッシュをオーバーレイに追加したセットアップ。
さらにフォアフットにはフライワイヤーと連結されたストラップも付いています。
ネオプレン素材は伸縮性があり、足入れはスムーズ。
ヒールからミッドフットにかけての成型は素晴らしく、シューレースを締めなくてもプレー出来そうなくらい足との一体感があります。
一転フォアフットはかなりルース、ゆとりがあります。
シューレースは4列しかないので、フォアのフィット調節はストラップ次第。
そのロックダウンは的確でカチッとホールドしてくれます。
ただ私の場合、満足できる位置まで締めるとストラップが大きく小指側にはみ出してしまいかなり格好悪い事に…。
※サイズ選びについて※
今回使用したのはアジア人向け幅広ラストの「EPバージョン」。
前述のとおり、フォアフットにかなりゆとりがあります。
普段のサイズからハーフダウンを基本に考えて良いでしょう。
SUPPORT - 6 / 10
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。
"Kyrie 3"と同じく、カカトが低くなる構成は足首にストレスが掛かります。
加えて全力で動くとフォアの横ブレも起きるため、今作を履くと普段以上に疲労が残りました。
ヒール周りはソールの安定性も良く、ミッドフットの捻れ剛性も十分と、フォア以外のサポート性はしっかりしています。
LATERAL TRANSITION - 7 / 10
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。
HEEL-TOE TRANSITION - 7 / 10
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。
こちらも"Kyrie 3"と同様の感覚。
クッションの高低差でカカトが下がった状態になるため、動き出しは遅くなります。
加速し始めてからの前方向への加速感は今作にやや分がある印象。
スコアを変えるほどではありませんが…。
BREATHABILITY - 7 / 10
通気性能。 通気が良いほど高評価。
DURABILITY - 7 / 10
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。
WEIGHT - 9 / 10
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。
Final Conclusion
カイリーシリーズやスーパーフライシリーズと同系統のソール形状を採用した今作。
正直着用前からテンションは上がりませんでしたが、パフォーマンスもそれなりで、スコアも伸び悩みました。
個人的にポール・ジョージは好きなプレイヤーの一人で、今作もデザイン・マテリアルは素晴らしいと思いますがオンコートではちょっと…。
これなら今作のベースとなった"Zoom Crusader"の方が癖が少なく、バッシュとしては優秀かと。
まあシグネチャー1作目ですし、今後の進化に期待したいと思います。
カイリーやスーパーフライで同系のクッションに慣れていれば、スコア以上に快適にプレーできると思います。
慣れていないプレイヤーは、購入前の試着を強くオススメします。
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TRACTION - 9/10
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CUSHIONING - 7/10
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COURT FEEL - 8/10
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FIT/LOCKDOWN - 9/10
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SUPPORT - 6/10
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LATERAL TRANSITION - 7/10
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HEEL-TOE TRANSITION - 7/10
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BREATHABILITY - 7/10
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DURABILITY - 7/10
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WEIGHT - 9/10