- テストカラー:Team Red/Hot Punch-white(852396-681)
- 主な機能:Hyperfuse, Dynamic Flywire, Half-length Inner Bootie, Heel Zoom Air, Phylon Midsole, TPU Shank Plate, TPU Internal Heel Counter
- 着用した主なプレイヤー:Kyrie Irving, Iman Shumpert, J.R. Smith, Channing Frye, P.J. Tucker
- 価格:¥16,200(国内)・$120(海外)
Introduction
今回はたくさんのリクエストがありました"Kyrie 3 EP"のパフォーマンス・レビューです。
リクエストコメント頂いた方々、感謝ですm(__)m
遅くなってしまいスミマセン…ようやく書き上がりました。
さて、今作はKyrie Irving(カイリー・アーヴィング)の3rdシグネチャーになります。
カイリーシリーズは何と言ってもギミックを施したフォアフット。
これが今までは上手く機能せず、低調なパフォーマンスでした。
今作も特徴的なフォアフットは健在。進化を期待したいところです。
早速細部を見ていきたいと思います。
TRACTION - 10 / 10
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。
前後方向の「ヘリンボーン・パターン」をベースに、左右のエッジ部分のみ「ブレード・パターン」のアウトソール。
ヘリンボーン部分は若干硬め。ブレード部分はソフトになっています。
ブレード部分は盛り上がっていて、ヘリンボーンとは高さが違う仕様。
ですがヘリンボーンとブレードの剛性差により、体重を掛けるとフォアフットはしっかり全体で接地。
ナチュラルな乗り心地です。
接地面積が限定されるシチュエーションもなく、特に左右方向へは加速感あるアグレッシブなトラクション。
高速でクロスオーバーを繰り返すカイリーのシグネチャーらしい仕様かと。
ラバーは耐摩耗性に優れた「XDR」で、粘着性は低めの質感。
スキール音は鳴らないタイプで、ホコリの吸着も少なくほとんど拭く必要がありません。
「最高レベルのトラクション」と言って良いでしょう。
CUSHIONING - 8 / 10
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。
「ファイロン・ミッドソール」に「ヒール・ズームエア」を埋め込んだクッション・セットアップ。
ファイロンの質感は触れてみるとややソフトな質感で、履いてみると薄く硬めでダイレクトな乗り心地。
ソール剛性はなかなか高めですが、屈曲からの復元はやや遅め。
※履いた状態では不可能な角度まで手で曲げれば高速で復元しますが。
ジャンプ含む前後方向の加速感は少なめながら、接地感はMAXで高反応。
捻れ剛性とトラクションは強力なので、左右方向へは加速感があります。
惜しいのはフォアはヒールより厚みがあり、シューズ内で足が後傾になるクッションバランス。
フラットなバッシュに比べて、初動が微妙に遅れます。
加えて今作はつま先のカーブアップ(反り上がり)が強めで、足指が浮いた状態になります。
プレー中は多少ソールのカーブを押し込めて、フラットに近付きますがそれでも足裏がイマイチ機能していない感覚。
この部分は足長に対して足指が長いプレイヤーほどストレスに感じる可能性があるので足型とご相談を。
※自分の足はギリシャ型で、足長は約27cmで一番長い人差し指は約7cmです。(中節骨の始まりから計測)
とは言え、この二点を加味してもクッションの反応は速く、トータルではプレーしやすいバッシュに分類されます。
ヒールズームの存在感は無く衝撃吸収性が欲しい方には向かないと思いますが、平面での動きにキレを求める方には最適なクッションかと。
※市販のインソール「スーパーフィートのグリーン」との相性はかなり良く、後傾バランスをフラット寄りに整えてくれるので交換推奨です。
※"Nike Zoom BB NXT"の「リアクト・インソール」との相性は未検証ですが、吸収性を足したい方にはアリかなと思います。
※インソール交換はスコアに含めていません。
COURT FEEL - 9 / 10
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。
FIT/LOCKDOWN - 8 / 10
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。
「フォアフット・インナーブーティー」をメッシュベースの「アッパー」が包むオーソドックスなセットアップ。
フォアフットの屈曲部分にはフライワイヤーを2列だけ設置。
中足部からヒールに掛けてのアッパー表面には"Kurim(キュリム)"と呼ばれるTPUパーツを多数追加。
これは"Jordan Ultra.Fly"でも使われていた機能で、アッパーのしなやかさを保ちつつ強度を高めるが目的でした。
今作も目的は同じながら、素材はウルトラフライのラバー調から硬質なプラスチック調に変更。
"Kyrie 1 EP"のヒールにもトゲがありましたが、今作のキュリムは比較にならないほど鋭く、耐久性以上に攻撃力がアップしていてバッシュ同士やウェアを傷付ける可能性があります。
今作を保管や持ち運びの際にはご注意を。
前置きが長くなりましたが、タンもインナーブーツもヒール周りも適度なパディングがあり、足にピタリとフィットします。
シューレースのロックダウン・ヒールカウンターの成型いずれも申し分ありません。
違和感があるのはクッションでも触れた「後傾クッション」と「つま先のカーブアップ」。
加えてトーボックスにはEPラストらしく、かなりの高さと広さがあります。
カーブアップがあるためソックスで空間を埋めるのも難しい。
今作は多少空間を空けて履くのがデフォルトの様です。
色々言いましたがフォアは空間空くものと割り切って履けば十分にプレーできます。
トータルでは優秀な部類のフィット/ロックダウンかと。
※※※サイズ選びについて※※※
今回使用したのはアジア向けのEPラストの「27.5cm」。
トーボックスのゆとりからハーフサイズ(0.5cm)ダウンするか迷いますが、つま先のカーブアップを考えるとそのままが良さそうな気がします。
※「スーパーフィートのグリーン」に変えた場合も同じサイズ感で良いでしょう。
※ソックス調整はスコアに含めていて、インソール交換はスコアに含めていません。
SUPPORT - 8 / 10
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。
LATERAL TRANSITION - 10 / 10
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。
HEEL-TOE TRANSITION - 7 / 10
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。
BREATHABILITY - 7 / 10
通気性能。 通気が良いほど高評価。
DURABILITY - 9 / 10
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。
このレビューは2023年にリライトしています。
レビュー公開当時(2017年)はシューレースホールの破損の可能性を考慮してスコアダウンしていましたが、今作に関しては長く履いても問題無かったため大幅にスコア修正。
ダウンの理由は前作"Kyrie 2"で破損が散見されたため。
ですがカイリー2に限らずその原因のほとんどは「サイズが合っていない」、もしくは「足型が合っていない」シューズを無理に履いた結果。
自身の経験と、色々な人のバッシュの履き方を見ていて上記の結論に至りました。
今作はトーボックスの空間を埋めるのが難しい構造なため1ポイント下げましたが、それでもかなり耐久度は高い部類に入るかと。
WEIGHT - 10 / 10
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。
Final Conclusion
今作をまとめると「左右方向特化バッシュ」。
とにかくディフェンスやクロスオーバー、細かいステップが踏みやすい。
もし前後方向の動きにくさが修正されたら、"Hyperdunk 2016"や"Kyrie 5"など最強クラスに対抗し得るかもしれません。
加えて今回試したのは自分の足型には合わないEPラストであることを考慮すると、ポテンシャルは相当に高い仕様。
という事で現在グローバルラストのレビューを同時執筆中。
タイミングが遅いにも程があると思いますが…EP⇔グローバルの比較としてだけでもなかなか面白い内容になりそうなのでご期待ください。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
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TRACTION - 10/10
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CUSHIONING - 8/10
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COURT FEEL - 9/10
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FIT/LOCKDOWN - 8/10
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SUPPORT - 8/10
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LATERAL TRANSITION - 10/10
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HEEL-TOE TRANSITION - 7/10
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BREATHABILITY - 7/10
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DURABILITY - 9/10
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WEIGHT - 10/10