Jordan Ultra.Fly Performance Review
- テストカラー:Black/Reflect Silver-white(834268-011)
- 主な機能:Articulated Forefoot Zoom Air Unit, Phylon Midsole, TPU Internal Heel Counter, TPU Shank Plate, Kurim Upper
- 着用した主なプレイヤー:Blake Griffin、Russel Westbrook, Monta Ellis, Jimmy Butler, Jabari Parker, Kemba Walker, Joe Johnson, Bismack Biyombo
- 価格:¥16200(国内)・$125(海外)
Introduction
今回はジョーダン・ウルトラフライのパフォーマンス・レビューです。
“Kurim(キュリム)”と呼ばれるしなやかなウェブ状のTPU素材が、アッパー全体を包み、かなり目を引くデザインに仕上がっています。
個人的にも好みのシルエットなので、パフォーマンスにも期待したいところです。
さっそく機能の細部を見ていきたいと思います。
TRACTION - 7 / 10
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。
CUSHIONING - 7 / 10
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。
ヒールはファイロンのみで、フォアフットは9個に分節されたズームエアのセットアップ。
“Jordan CP3.IX(9)”と同様のクッションです。
ズームエアは厚いファイロンの底面に配置されたボトムロードなので、その感触は残念ながら全く感じません。
衝撃吸収性に役立っているのは、ファイロンとインソールのみ。
ファイロンは硬めですが、インソールはモチモチと心地良い足当たり。
衝撃吸収性は平均レベルでしょう。
フォアフットの屈曲部分の剛性・復元性はやや強め。
中足部にシャンクプレートが内蔵されていますが、小さいプレートなので中足部の剛性は通常レベル。
ズームエアは感触がないので特に影響して来ません。
反発性は平均よりやや強めくらいでしょう。
トータルのクッショニングは特別な印象はなく、トラクションに引き続き平均的かと。
COURT FEEL - 8 / 10
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。
FIT/LOCKDOWN - 10 / 10
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。
アッパーのベースは薄いメッシュ素材で、その表面にウェブ状のTPU素材“Kurim(キュリム)”を圧着させた構造。
キュリムはクリムと呼ばれる場合もあるようです。
タンは若干厚めですが、アッパーはほとんどパディングもなく、メッシュとキュリムのみ。
キュリムは今までの圧着素材に比べ、かなり厚く立体的。
厚いと足当たりが悪くなるかと思いきや、メッシュと同様のしなやかさがあり、フィット感は非常にナチュラル。
急なストップや切り返しでもブレない強度も備えています。
見た目は“Zoom Kobe III(3)”に似ていますが、履き心地は“Cluthfit Drive”のクラッチフィット・アッパーがもっとも似た感触かと思います。
あちらはベースがシンセティックレザーで通気性が全く無く、表面のコーティングも衝撃に弱いという難点がありました。
このメッシュとキュリムのセットアップは通気性・耐久性ともに素晴らしく、クラッチフィットのアップグレード版と言えるでしょう。
文句なくパーフェクトです。
サイズに関しては、通常のナイキサイズよりハーフサイズアップが良いでしょう。
特につま先から甲にかけて低い構造で、甲が低めの自分でも少し窮屈に感じました。
出来るなら試着してから、もしくは交換・返品可能なショップでの購入をオススメします。
SUPPORT - 6 / 10
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。
足首は“5/8カット”と呼ばれるミッドとローの中間の高さ。
“Air Jordan XX2”で使われ始めたカットですが、近年のモデルではCP3シリーズが基本的に5/8カットですので、イメージし易いかと思います。
実物の完全なミッドカットに見えますが、ヒールのクッションが厚く、シューズ内の空間は浅めで確かに5/8くらいの高さ。
厚いクッションに浅いアッパーで少し不安定。
この履き心地は“Jordan CP3.VI(6)”を思い出します。
ヒールカウンターも浅く、柔らかいので、左右の動きの中では足首に負荷が掛かります。
残念ながら平均以下のサポート性かと。
足首が弱いプレイヤーや体重のあるプレイヤーは避けた方が良いでしょう。
LATERAL TRANSITION - 8 / 10
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。
HEEL-TOE TRANSITION - 7 / 10
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。
BREATHABILITY - 9 / 10
通気性能。 通気が良いほど高評価。
DURABILITY - 8 / 10
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。
WEIGHT - 9 / 10
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。
Final Conclusion
事前のレビューや噂であまり良い評価を聞かなかった今作。
確かにトラクションとサポートはイマイチで、オススメしたいと思えるパフォーマンスではありません。
ですがアッパーに使われた“Kurim(キュリム)”はフィット感・耐久性・軽量性・通気性のすべてを備えた素晴らしいパフォーマンス。
“Air Jordan XX9(29)”のパフォーマンス・ウーブンと比較しても、耐久性の分だけキュリムの方が優れているかもしれません。
パーツによって長所・短所がはっきりしているだけに、ちょっと修正すればかなりのパフォーマンスが期待できそうな惜しい1足です。
次回作に期待したいと思います。
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TRACTION - 7/10
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CUSHIONING - 7/10
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COURT FEEL - 8/10
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FIT/LOCKDOWN - 10/10
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SUPPORT - 6/10
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LATERAL TRANSITION - 8/10
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HEEL-TOE TRANSITION - 7/10
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BREATHABILITY - 9/10
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DURABILITY - 8/10
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WEIGHT - 9/10