Nike Kobe IX(9) EM Low Performance Review

- テストカラー:Brazil(646701-413), Unleashed-Pop Art(646701-508)
- 主な機能:Dynamic Flywire, Engineered Mesh, Full-length Lunarlon Drop-in Midsole
- 着用した主なプレイヤー:Kobe Bryant, Matthew Dellavedova, DeMar Derozan, JR Smith, Nick Young
- 価格:¥19,440(国内)、$160(海外)
Introduction
今回はKobe Bryant(コービー・ブライアント)の9thシグネチャー"Nike Kobe IX(9) EM Low"のパフォーマンス・レビューです。
今作にはアッパーにフライニットを使用した「エリート」も存在しますが、前作"Kobe VIII(8)"と比較がしやすいと思い、メッシュを使ったカラーを購入。
かなりの高感触だった前作を超えることができるか。早速その細部を見ていきたいと思います。
https://footwearnews.com/2016/focus/athletic-outdoor/kobe-bryant-lebron-james-cleveland-final-game-nike-191069/
via
TRACTION - 5 / 10
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。
全面にコービー本人の足底圧計測マップからインスパイアされた「プレッシャー・マッピング」と呼ばれるパターンを使用。
ラバーは全面が「ソリッド」でパターン部分は非常に薄く、非常にソフトで粘性(変形のしやすさ)は高めです。
体重をかけると細いパターンがコートにヒタッと張り付く感覚があり、コントロールスピードでプレーする限りはとても快適。
しばらくして対人で全力でプレーし始めるとちょいちょい遅れが発生。
そして大きな問題が起こったのは全力でのドライブ時。
ドロップから低い姿勢で右足に全体重を載せた瞬間、ズルっと5cmほど勢いよく滑りました。
その後も何度やっても、左足でやっても結果は同じ。
原因は「シャンクプレート」を排した事かと思われます。
一応中足部のサイドにTPUパーツはありますが、個人的に補強パーツが欲しいのはそこじゃなく「底面」。
自分の場合、ステップするときに下方向への押し込みを使う割合がかなり高いため、サイド方向への補強はあまり意味が無く感じます。
※これは今作の評価で意見の別れる大きな要因の1つかと。
シャンクの支えがないため押し込むと土踏まず部分が沈み過ぎ、アウトソールは捻れ、グリップ性能のないツルツルの箇所が「斜め」に接地。
足全体としては下方向に押しているのに、この部分だけ斜めに体重を掛けることは出来ず、結果大きなスリップが発生していました。
プレーの選択肢からドライブが消さざるを得ない事と、怪我をしそうな危険な滑り方なので大幅にスコアは下げました。
CUSHIONING - 7 / 10
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。
ルナロン製の「ドロップインミッドソール(インサート)」単体のクッションセットアップ。
※ドロップインミッドソール(インサート)は、インソールとミッドソールが一体となった着脱可能なクッションで、前作"Kobe VIII(8)"や"Lebron XI(11)"でも使用されています。
ルナロンはプニプニした感触で前作より厚く、衝撃吸収性はかなり高めです。
フォアの屈曲からの復元スピードは前作同様にあまり強くないままなので、沈み幅が増した分だけ反発性は弱くなっています。
発売の前シーズンにアキレス腱断裂の大けがを負ったKobeの足を保護するためクッションを増したのかもしれませが、個人的にこの仕様には疑問が。。
※バッシュレビューから離れた内容になりそうなので細かく語るのはやめておきます。。
また前作同様にいつもの「スーパーフィートのグリーン」に変更することは「不可能」です。
もし今作に市販のインソールを使うなら「Bauerfeind(バウアーファインド)」社製のインソールをルナロンに「重ねて使う」と良いかもしれません。
情報のソースは忘れましたがKobe本人もこの履き方をしていたとの話を聞いたことがあるので、興味がある方は試してみては。
私の場合は大した機能アップは見込めないだろうと当時スルーして試していませんので、トライされる際はあくまで自己責任でお願いします。
正直狙っていたのは今作のProtro(プロトロ)が出た時にインソールもまとめて試してやろうと目論んでいたのですが…。
最近Kobe遺族とナイキが契約解消した事でそれも夢と消えました。。
※インソール交換はスコアに含めていません。
COURT FEEL - 8 / 10
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。
ルナロンの沈みと滑るトラクションが余計ですが、アウトソールは薄くコートはかなり近くに感じます。
FIT/LOCKDOWN - 7 / 10
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。
前作に引き続き「フォアフット・インナーブーティー」を「エンジニアード・メッシュ」のアッパーが包むセットアップ。
メッシュに伸縮性が無いことも変わらずですが、足当たりはとても良くシューレースを強く締めてもストレスを感じません。
この頃から流行り始めた「ダイナミック・フライワイヤー」もシューレースと連動してしっかりフィットを高めてくれている印象です。
アキレス周りにはパディングが入っていて、ルナロンのヒール部分もカップ状に成型され、カカト周りのフィット・安定感もコントロールスピードで動く限りは良好。
ですがやはりドライブや急なムーブでは時折カカトの抜けを感じました。
当時はパディングが足りないためだと思っていましたが、今考えるとシャンクが足下にないことから「捻れ剛性」が低く、「沈み」も強くなり、その結果シューズが変形し過ぎていたことが原因かと。
色々な人の意見やプレースタイルを見るに、ドライブやジャンプの際、足首を固めて使うか、潰して使うかで評価が二分されるようです。
足首を固めて使うプレイヤーの場合はこのレビューと似た感覚になる可能性が高いと思います。
※※※サイズ選びに関して※※※
今作にEPラストは存在せずグローバルラストのみ。
マイサイズ"27.5cm"を購入して、いつものソックス2枚でジャストの感覚。
動きの中では沈みと捻れから隙間が生じるので、ハーフ(0.5cm)サイズダウンでも良かったかもしれません。
足幅が広かったり甲高の場合はマイサイズを基本に考えて良いと思います
SUPPORT - 6 / 10
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。
コートに張り付くようなアウトソールは、小指部分に張り出したアウトリガーもあり、安定感はしっかりしています。
ヒールカウンターと、ルナロンインサートの形状によりシューズ内でのブレも防止。
気になる点としては、まずカカトの抜けが若干感じられること、そして何より先にも指摘した、「シャンクがないことによる滑り」が大きなマイナスポイントです。
LATERAL TRANSITION - 7 / 10
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。
HEEL-TOE TRANSITION - 6 / 10
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。
BREATHABILITY - 7 / 10
通気性能。 通気が良いほど高評価。
通気性はエンジニアード・メッシュのタイトルほど良くありません。
メッシュに裏地が張られているためで、耐久性アップには貢献してますが、通気性ではマイナスです。
タンも通常の厚さなので通気性は標準レベルです。
DURABILITY - 7 / 10
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。
柔らかいソールの細いエッジたちはグリップが良い分、脆く欠けやすいです。
アッパーはメッシュに裏地を張ったり、つま先周りをTPU素材でコーティングしたりと、しっかりした耐久性があります。
ルナロン・インサートも十分な厚さがあり、しばらく使ってもあまりヘタった様子はありません。
この部分は前作のヘタリの早さを踏まえてか修正が施されています。
WEIGHT - 10 / 10
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。
約335g(27.5cm・片足)
※実際に計測した重量です。
Final Conclusion
前作の“Kobe VIII(8)”から大きくステップバックしたパフォーマンス。
「ナイキのローカットのバッシュでは歴代最高」との声が多い今作ですが、当時個人的にはクエスチョンマークが多く付く結果になりました。
2021年現在で振り返ってみてもやはり同意見です。
このモデルのように柔らかい素材で構成されているバッシュにはシャンクプレートが必須アイテムだと思います。
もしシャンクを排すなら、アウトソールかミッドソール、或いはその両方で土踏まずのアーチが正しい位置で維持されるよう剛性を持たせた設計がされるべきだったかと。
あくまで個人的な意見ですが、バッシュとしての基本要素が抜けてしまっていて、どちらかと言うとランニングシューズやトレーニングシューズのカテゴライズすべき機能に思えます。
また、今作にはサイドのTPUパーツをカーボンファイバーに変更し、メッシュからフライニットに変更した「エリート」も存在しますが、肝心の「足下のシャンク」が追加されている訳ではありません。
実際に履いてみたところ、アッパー強度は上がっていてソール剛性も少し上がっていましたが、試合や強度の高い練習で履くにはちょっと厳しかったです。。
こちらも「Bauerfeind(バウアーファインド)」社製のインソールをルナロンに「重ねて使う」と変わるのかもしれませんが、2021年現在だと状態の良い個体がほぼ残っていません。
似た構造のバッシュだと"Kobe XI(11)"がありますが、こちらでもKobe本人はインソールを足していたと聞いたので、耐用年数を考えるとこちらで試すのがベターかもしれません。
自分も折を見てトライする予定なので興味がある方は(自己責任で)是非に。
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TRACTION - 5/10
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CUSHIONING - 7/10
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COURT FEEL - 8/10
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FIT/LOCKDOWN - 7/10
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SUPPORT - 6/10
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LATERAL TRANSITION - 7/10
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HEEL-TOE TRANSITION - 6/10
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BREATHABILITY - 7/10
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DURABILITY - 7/10
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WEIGHT - 10/10