Nike Zoom KD 9 (KD9) Elite EP Performance Review
- テストカラー:Black/Dark Grey/Hyper Orange (878639-010)
- 主な機能:Flyknit, Full-length Articulated Zoom Air Unit, Phylon Midsole, TPU Internal Heel Counter, Full-length Bootie Construction
- 着用した主なプレイヤー:Kevin Durant
- 価格:¥20,520(国内)・$150(海外)
Introduction
今回はケビン・デュラントの9thシグネチャーの「エリート・バージョン」のパフォーマンス・レビューです。
思えばKDシリーズのエリートを履くのは"KD VI(6) Elite"以来と、実に3シーズン振り。
"KD VII(7)"は普通にパフォーマンスに期待出来なそうという理由で、"KD 8(VIII)"はあの長いスリーブの見た目がダメで履かず仕舞い…。
"Zoom KD 9(IX)"は個人的にKDシリーズ中ベストの感覚でしたので、そのエリートは単純に良いだろうな、と予想します。
ちなみに無印は「グローバル・ラスト」でレビューしましたが、エリートは幅がタイトに感じたので「EPラスト」を購入しました。
それではその細部を見ていきたいと思います。
TRACTION - 10 / 10
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。
無印と同じく六角形が並んだ「ハニーカム・パターン」もしくは「ヘキサゴン・パターン」と呼ばれるアウトソール。
トランスルーセント・ラバーはソリッドに比べて若干硬い気がしますが、凄まじい粘性は変わらず。
一切遊びのない、急ストップするタイプのトラクションです。
状態の良いコートだと止まり過ぎると感じるかもしれません。
ホコリの多いコートでは非常に頼もしいトラクションで最高レベルと言ってい良いでしょう。
CUSHIONING - 9 / 10
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。
「ファイロン・ミッドソール」と「分節型フルレングス・ズームエア」のセットアップ。
見た目は無印と変わりません。
プレーしてみると、パフォーマンスもほぼ同じ。
薄いクッションはダイレクトな接地感がありつつ、ズームエア特有のムニムニした感触もしっかり残しています。
素晴らしい衝撃吸収性がありながら、ソール剛性も十分。
EPラストにしたためか、ヒールカウンターの成型が甘くカカトがちょいちょい浮く感覚があり、これが唯一のマイナスポイント。
それ以外は反発性も概ね快適で、トータルではなかなかハイレベルまとまっているクッションかと。
COURT FEEL - 9 / 10
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。
FIT/LOCKDOWN - 7 / 10
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。
無印からエリートになって、大きく変わったのがアッパーのセットアップ。
フォアは変わらず「フライニット」ですが、ヒール周りにはインナーブーツによく使われる「ネオプレン素材」を採用。
足首は「3/4カット」と呼ばれ、ちょうどネオプレン素材のステッチ辺りの高さに設定されています。
そして通常は細いはずのフライワイヤーは「極太仕様」。
友達が「うどん」みたいと言っていましたが、まさにそんな感じのワイヤーです。
まずワンピースモデルらしく、履くところから一苦労。
無印よりも履き口周りのアッパーが内側に巻き込まれやすい構造です。
カカトを押し潰しながら履けた、と思っても今度は巻き込んだアッパーを引っ張り出せず、やり直し。
これを何度か繰り返さねばならず、プレーするまでに時間が掛かります。
何とか足入れしてプレーしてみると、微妙に足にフィットしない感覚…。
試着段階では気付きませんでしたが、フライニットは思った以上に伸縮性があり、シューズ内で足が動き、ブレが生じます。
「やはり試着と実際のプレーは違うな」と再確認した次第です。。。
満足行くまでシューレースを締めようと思っても、調整幅が狭く、左右の極太ワイヤーがくっ付いてしまいます…。
対策としてソックスを重ね履きして、何とかデッドスペースを埋める事には成功。
これで足入れの難しさはアップしてしまいましたが、ブレは解消されました。
ただどうしても埋めきれないのがヒールカウンター部分。
パディングは入ってますが、カウンター自体の成型が甘く、微妙にカカトが浮く感覚がしばしば。
履き口をグルっと周回している極太ワイヤーも、ロックダウンの効果は思ったほどではなく…。
幸いにも脱げてしまいそうな感覚はありませんが、気になる人は気になるでしょう。
まあカウンター部分は仕方がないとしても、それ以外の部分は少し工夫すれば普通に履けるようになります。
ソックスを足したあとは概ね快適でしたので。
※スコアは工夫する前の状態で評価したので低めです。
※サイズ選びについて※
アジア人向けの「EPラスト」を使用しました。
EPラストにしてはタイトめのつくり。
通常幅の「グローバル・ラスト」で履いているサイズと基本同じで良いかと。
幅広や甲高のプレイヤーは、足入れが困難な可能性もあるので要試着です。
ハーフサイズアップはヒールの抑えが更に甘くなる可能性があるので慎重に選んだ方が良いでしょう。
SUPPORT - 8 / 10
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。
LATERAL TRANSITION - 8 / 10
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。
特にアッパーのブレが、急な切り返しでは影響して来ます。
アグレッシブなトラクションに対して、剛性が足りない感覚。
最近"ANTA KT 2"のレビューでも同じことを言っていた気が…。
やはり伸縮性あるニットの扱いは難しいですねぇ。
"ANTA KT 2"よりはブレの影響は少なめで、まあ許容範囲。
平均よりスムーズなレベルは確保されているかと。
HEEL-TOE TRANSITION - 8 / 10
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。
BREATHABILITY - 8 / 10
通気性能。 通気が良いほど高評価。
DURABILITY - 8 / 10
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。
無印の"Zoom KD 9"では「エア抜け」の症状が散見されました。
ナイキの説明ではエリートではズームエアとフォアの分節部分を「チューンアップ」して、耐久性は増しているとのこと。
実際微妙にですが分節部分の可動の感覚は違うので、何か変更は施されているっぽいです。
それ以上の違いは分からないですが、ナイキの言葉を信じてスコアは高めにしました。
また、フライニットには補強パーツを追加せず、トゥーボックスのみ編み方がタイトに。
硬めの足当たりですが、トゥーボックスにはこのくらいの剛性があるほうが安心感してプレー出来ます。
WEIGHT - 9 / 10
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。
Final Conclusion
デュラント本人の足型が特殊なため、たびたびフィット感が鬼門となるKDシリーズ。
ワンピースアッパーになっても、足型が合う合わないでパフォーマンスが大きく変わる仕様は相変わらず、です。
個人的には無印の「グローバル・ラスト」が一番シックリきたので、あちらの方がハイスコアになりました。
ちなみにデュラント本人はキャリアを通して「ソックス重ね履き」スタイルでプレーしています。
今作の「グローバル・ラスト」は海外のレビューを見ると「かなり狭い」らしいのですが…。
それを重ね履きで履いてしまうとは…どれだけ足が細いのか。
そんなデュラントのシグネチャーである事を考えると、市販モデルはこれでもだいぶ万人向けに寄せているのかもしれませんね。
ともあれソール周りのパフォーマンスは素晴らしく、フィット感さえクリア出来たなら試合用の「Go To Shoes」として申し分のない1足かと。
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TRACTION - 10/10
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CUSHIONING - 9/10
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COURT FEEL - 9/10
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FIT/LOCKDOWN - 7/10
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SUPPORT - 8/10
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LATERAL TRANSITION - 8/10
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HEEL-TOE TRANSITION - 8/10
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BREATHABILITY - 8/10
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DURABILITY - 8/10
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WEIGHT - 9/10