Nike Kobe A.D.(12-XII) Performance Review

6月 10, 2017
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  • テストカラー:Black/White(852425-001)
  • 主な機能:Hyperfuse, Dynamic Flywire, Half-length Inner Bootie, Heel Zoom Air Unit, Lunarlon Midsole, TPU Shank Plate, TPU Internal Heel Counter, TPU Exnternal Heel Counter
  • 着用した主なプレイヤー:John Wall, Isaiah Thomas, DeMar Derozan, Derrick Williams, P.J. Tucker
  • 価格:¥19,440(国内)・$160(海外)

Introduction

今回は"Kobe A.D.(コービー・エーディー)"のパフォーマンス・レビューです。

コービー・ブライアントのシグネチャーとしては12作目に当たる今作。

シグ本人が引退したこともあってか、モデル名は"Kobe XII(12)"ではなく"Kobe A.D."に変更。

"A.D"の意味については"Anno Domini"やら"After Death"やら諸説あり、どちらにしてもコービーの現役という1つの時代が終わった事を表しているようです。


今作のデザインは個人的にかなり好みのデザインで、シリーズ中でベストかもしれません。

なのでホントはもっと早く履きたかったのですが…いつまで経っても発売されないパープルベースのカラーが待っているうちに遅くなってしまいました。

結局待ちきれず、セールになったブラックを購入しました。

ソールパターンやクッションは"Kobe X(10)"と似ている部分が多いので、比較しながら細部を見ていきたいと思います。

TRACTION - 8 / 10

【Traction (トラクション) 】
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。

フォアフットは"Kobe X(10)"のノジュールの様な三角形の突起が並んだ"Micro Tread(マイクロ・トレッド)"と呼ばれるパターン。

ヒールは毒蛇ブラックマンバの体表をイメージしたと思われる不規則な五角形が並ぶパターンになっています。

ソリッドラバーはソフトで、粘性もかなり高く、ホコリの影響も比較的少なめ。

少しフォアが反っていますが、ミッドソールのルナロンがソフトなので体重を掛ければ適度に沈み、接地面積が限定される事はありませんでした。


唯一気になったのは「小指のアウトリガー部分の変形」

ラバーもルナロンもソフトで、ソール自体の幅が細めな作りなのも手伝って、急な切り返しではアウトリガーが足裏側へ折れ曲がるように「ブルンッ」と変形します。

最初は「壊れたかも…」と思ったほどでしたが、小指側に重心を掛けないように意識してプレーすれば変形は起きなくなり、普通にプレーできました。

足幅の広いプレイヤーや、小指側に重心を置きたいプレイヤーにはあまり向かない仕様でしょう。


フォアのソール幅を広くするか、"Kobe X(10)""Air Jordan XXX(30)"のようなロールアップした補強パーツがあったらより万人向けのトラクションになったかと。

またトランスルーセント・ラバーを使ったカラーだとまた違う感覚かもしれません。

今作は周りにトランスルーセントのカラーを履いているプレイヤーがいないため、比較は出来ていません。

もし読者の方の中に履いている方がいましたら感想聞きたいですm(__)m

CUSHIONING - 9 / 10

【Cushioning (クッショニング)】
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。

ルナロン・ミッドソールにヒール・ズームエアを組み合わせたセットアップ。

"Kobe X(10)"と似ていますが、大きな変更点が2つあります。

1つ目は"Kobe X(10)"ではミッドソール全体を覆っていたTPUケージが小指側のみになり、親指側は剥き出しのルナロンになっている事。

2つ目は"Kobe X(10)"では大容量だったズームエアが通常サイズに縮小されている事。


発売直後はこのズームエアのサイズについてちょっと騒がれていましたね。

と言うのも、ヒールサイドのTPUパーツがズームエアの繊維に似ていて、遠めの画像だとマックスエアタイプのズームエアが入っていると勘違いしてしまう仕様になっているため。

実物を手に取ればただのデザインだと分かりますが、ネット注文だと届いてガッカリ…と言うのも理解できます。


ズームエアは小さくなっていて感触はありませんが、実際の履き心地は悪くなく、むしろ快適なレベル。

ルナロンは半面ケージされているため、マシュマロの様な感触がありながら安定性も失われない絶妙なバランス。

衝撃吸収性はトップクラスかと。


一方、シャンクプレートとTPUケージのおかげでシューズ全体の剛性もしっかりしていて、変形からの復元はバネが巻き戻るように高速。

最近履いたクレイ・トンプソンの"Anta KT 1"と似た感覚です。

アウトリガー部分の変形が、左右方向や斜め方向への動き出しに影響して来ますが、それ以外は問題なし。

反発性も優秀なレベルと言って良いでしょう。

COURT FEEL - 8 / 10

【Court Feel (コート・フィール)】
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。

新品の状態では「シューズ内のアーチ成型が高く」、3回目の着用までは足裏にストレスが掛かり、すぐに疲れる上に練習後にはけっこう痛む…。

4回目の練習からはルナロンが適度に沈んだ様で、ストレスは若干の違和感程度まで弱まり、練習後の痛みは無くなりました。

沈んだと言っても、それでも高めの部類に入るアーチなので、偏平足の方や、足のアーチ部分に拘りある方は要試着でしょう。

それ以外にはアウトリガーの変形だけが気になりますが、ソールは接地面積が大きく安定性は申し分なし。

トータルの接地感は優秀なレベルかと。

FIT/LOCKDOWN - 7 / 10

【Fit/Lockdown (フィット/ロックダウン)】
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。

ナイロンメッシュ素材のアッパーに、ハーフレングスのインナーブーツを組み合わせたセットアップ。

フォアから中足部にかけては狭めの作りで、加えてシューレースも細いので、けっこうスナッグなフィット感。


一転、ヒール周りのフィット感はけっこうルース。

特徴的なルックスのヒールカウンターはゆとりのある成型で、加えて高いアーチの影響でシューズ内の足の位置も予想以上に高い。

パディングはしっかり入っていて、シューレースのロックダウンは強めなのでカカトが抜ける感じはありません。

ただ、中足部から前方がしっかりしている分、感覚的にヒール周りはかなりフリーに感じます。

プレー中は全く気になりませんでしたが、足型や足の使い方によって大きく好みが分かれるフィッティングかと思います。


※サイズ選びについて※

今作は幅広のEPの展開は無く、通常の「グローバル(レギュラー)・ラスト」のみ。

長さは少し長く、フォアの幅は狭め、高さは通常。

加えてアーチ成型が高めなので、少し合わせが難しいサイズ感。

基本は普段と同じサイズで良いと思いますが幅広・甲高の方は試着必須でしょう。

SUPPORT - 7 / 10

【Support (サポート) 】
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。

ソール自体はアウトリガー部分の変形以外は安定性あり、気になる部分は無し。

シャンクプレートとTPUケージのおかげで捻れ剛性も十分。

ヒール周りは少し癖がありますが、平均レベルのサポート性は確保されています。

ただし、偏平足の方や捻挫癖のある方にはあまりオススメできない仕様です。

LATERAL TRANSITION - 8 / 10

【Lateral Transition (ラテラル・トランジション) 】
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。

小指側に重心を取るプレイヤーや、足幅が広いプレイヤーだとアウトリガーが変形が影響して来る可能性があります。

それ以外はトラクションもシューズ剛性もクッションの反応も良く、左右方向の重心移動はスムーズです。

HEEL-TOE TRANSITION - 9 / 10

【Heel-toe Transition (ヒール/トゥー・トランジション) 】
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。

ルナロンが沈んだ後も、シューズ内アーチと足のアーチが微妙に合っていない感覚は残りました。

プレー中は自分は気になりませんでしたが、足型によっては干渉してくる部分かと思いますのでマイナス1ポイント。

ルナロンの反応やアウトソールの重心移動はスムーズなので、フィット面で問題なければパーフェクトなトランジションを体感できるでしょう

BREATHABILITY - 8 / 10

【Breathability (ブレイザビリティ) 】
通気性能。 通気が良いほど高評価。

フォアはインナーブーツとの2層構造で、アッパーのメッシュは素材自体の通気性は高くなく、それなりと言った印象。

多くのバッシュと同じく、タン部分からメインに通気する構造です。

ローカットの中でも低めのカットなので、足を覆う面積が少ない分、平均以上の通気性は確保されているかと思います。

DURABILITY - 6 / 10

【Durability (デュラビリティ) 】
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。

やはり一番気になるのは「アウトリガーの変形」

今のところ、変形しても何事も無かったように復元してくれるのでダメージは見て取れませんが…。

足型や重心の置き方によっては、変形はより頻繁に起こる可能性がありますし、その分を考慮してスコアは低めにしました。

WEIGHT - 9 / 10

【Weight (ウェイト) 】
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。

約361g(27.5cm・片足)

※実際に計測した重量です。

Final Conclusion

「アウトリガーの変形」・「シューズ内アーチの高さ」

各カテゴリーで何度も登場したフレーズですが、この2点により着用プレイヤーはそれなりに限定されると思います。

ただこの2点さえクリア出来ればスコア以上のパフォーマンスを期待して良いです。

ルナロンの全面ケージから半面ケージにした分、"Kobe X(10)"よりもソフトなライディングになり、クッション性と反発性のバランスが均等に近付いて、より万人受けする仕様になりました。

スペックの割りに定価は少し高いですが、このレビューを書いているうちにブラックだけでなくレッドもNike.comでセールになっています。

この価格なら狙ってみる価値はあるかと。

  • TRACTION - 8/10
  • CUSHIONING - 9/10
  • COURT FEEL - 8/10
  • FIT/LOCKDOWN - 7/10
  • SUPPORT - 7/10
  • LATERAL TRANSITION - 8/10
  • HEEL-TOE TRANSITION - 9/10
  • BREATHABILITY - 8/10
  • DURABILITY - 6/10
  • WEIGHT - 9/10
TOTAL SCORE
B 80 / 100

PERFORMANCE RANKING

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