Nike Kobe A.D.(12-XII) Performance Review
- テストカラー:Black/White(852425-001)
- 主な機能:Hyperfuse, Dynamic Flywire, Half-length Inner Bootie, Heel Zoom Air Unit, Lunarlon Midsole, TPU Shank Plate, TPU Internal Heel Counter, TPU Exnternal Heel Counter
- 着用した主なプレイヤー:John Wall, Isaiah Thomas, DeMar Derozan, Derrick Williams, P.J. Tucker
- 価格:¥19,440(国内)・$160(海外)
Introduction
今回は"Kobe A.D.(コービー・エーディー)"のパフォーマンス・レビューです。
コービー・ブライアントのシグネチャーとしては12作目に当たる今作。
シグ本人が引退したこともあってか、モデル名は"Kobe XII(12)"ではなく"Kobe A.D."に変更。
"A.D"の意味については"Anno Domini"やら"After Death"やら諸説あり、どちらにしてもコービーの現役という1つの時代が終わった事を表しているようです。
今作のデザインは個人的にかなり好みのデザインで、シリーズ中でベストかもしれません。
なのでホントはもっと早く履きたかったのですが…いつまで経っても発売されないパープルベースのカラーが待っているうちに遅くなってしまいました。
結局待ちきれず、セールになったブラックを購入しました。
ソールパターンやクッションは"Kobe X(10)"と似ている部分が多いので、比較しながら細部を見ていきたいと思います。
TRACTION - 8 / 10
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。
フォアフットは"Kobe X(10)"のノジュールの様な三角形の突起が並んだ"Micro Tread(マイクロ・トレッド)"と呼ばれるパターン。
ヒールは毒蛇ブラックマンバの体表をイメージしたと思われる不規則な五角形が並ぶパターンになっています。
ソリッドラバーはソフトで、粘性もかなり高く、ホコリの影響も比較的少なめ。
少しフォアが反っていますが、ミッドソールのルナロンがソフトなので体重を掛ければ適度に沈み、接地面積が限定される事はありませんでした。
唯一気になったのは「小指のアウトリガー部分の変形」。
ラバーもルナロンもソフトで、ソール自体の幅が細めな作りなのも手伝って、急な切り返しではアウトリガーが足裏側へ折れ曲がるように「ブルンッ」と変形します。
最初は「壊れたかも…」と思ったほどでしたが、小指側に重心を掛けないように意識してプレーすれば変形は起きなくなり、普通にプレーできました。
足幅の広いプレイヤーや、小指側に重心を置きたいプレイヤーにはあまり向かない仕様でしょう。
フォアのソール幅を広くするか、"Kobe X(10)"や"Air Jordan XXX(30)"のようなロールアップした補強パーツがあったらより万人向けのトラクションになったかと。
またトランスルーセント・ラバーを使ったカラーだとまた違う感覚かもしれません。
今作は周りにトランスルーセントのカラーを履いているプレイヤーがいないため、比較は出来ていません。
もし読者の方の中に履いている方がいましたら感想聞きたいですm(__)m
CUSHIONING - 9 / 10
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。
ルナロン・ミッドソールにヒール・ズームエアを組み合わせたセットアップ。
"Kobe X(10)"と似ていますが、大きな変更点が2つあります。
1つ目は"Kobe X(10)"ではミッドソール全体を覆っていたTPUケージが小指側のみになり、親指側は剥き出しのルナロンになっている事。
2つ目は"Kobe X(10)"では大容量だったズームエアが通常サイズに縮小されている事。
発売直後はこのズームエアのサイズについてちょっと騒がれていましたね。
と言うのも、ヒールサイドのTPUパーツがズームエアの繊維に似ていて、遠めの画像だとマックスエアタイプのズームエアが入っていると勘違いしてしまう仕様になっているため。
実物を手に取ればただのデザインだと分かりますが、ネット注文だと届いてガッカリ…と言うのも理解できます。
ズームエアは小さくなっていて感触はありませんが、実際の履き心地は悪くなく、むしろ快適なレベル。
ルナロンは半面ケージされているため、マシュマロの様な感触がありながら安定性も失われない絶妙なバランス。
衝撃吸収性はトップクラスかと。
一方、シャンクプレートとTPUケージのおかげでシューズ全体の剛性もしっかりしていて、変形からの復元はバネが巻き戻るように高速。
最近履いたクレイ・トンプソンの"Anta KT 1"と似た感覚です。
アウトリガー部分の変形が、左右方向や斜め方向への動き出しに影響して来ますが、それ以外は問題なし。
反発性も優秀なレベルと言って良いでしょう。
COURT FEEL - 8 / 10
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。
FIT/LOCKDOWN - 7 / 10
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。
ナイロンメッシュ素材のアッパーに、ハーフレングスのインナーブーツを組み合わせたセットアップ。
フォアから中足部にかけては狭めの作りで、加えてシューレースも細いので、けっこうスナッグなフィット感。
一転、ヒール周りのフィット感はけっこうルース。
特徴的なルックスのヒールカウンターはゆとりのある成型で、加えて高いアーチの影響でシューズ内の足の位置も予想以上に高い。
パディングはしっかり入っていて、シューレースのロックダウンは強めなのでカカトが抜ける感じはありません。
ただ、中足部から前方がしっかりしている分、感覚的にヒール周りはかなりフリーに感じます。
プレー中は全く気になりませんでしたが、足型や足の使い方によって大きく好みが分かれるフィッティングかと思います。
※サイズ選びについて※
今作は幅広のEPの展開は無く、通常の「グローバル(レギュラー)・ラスト」のみ。
長さは少し長く、フォアの幅は狭め、高さは通常。
加えてアーチ成型が高めなので、少し合わせが難しいサイズ感。
基本は普段と同じサイズで良いと思いますが幅広・甲高の方は試着必須でしょう。
SUPPORT - 7 / 10
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。
LATERAL TRANSITION - 8 / 10
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。
HEEL-TOE TRANSITION - 9 / 10
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。
BREATHABILITY - 8 / 10
通気性能。 通気が良いほど高評価。
DURABILITY - 6 / 10
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。
WEIGHT - 9 / 10
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。
Final Conclusion
「アウトリガーの変形」・「シューズ内アーチの高さ」
各カテゴリーで何度も登場したフレーズですが、この2点により着用プレイヤーはそれなりに限定されると思います。
ただこの2点さえクリア出来ればスコア以上のパフォーマンスを期待して良いです。
ルナロンの全面ケージから半面ケージにした分、"Kobe X(10)"よりもソフトなライディングになり、クッション性と反発性のバランスが均等に近付いて、より万人受けする仕様になりました。
スペックの割りに定価は少し高いですが、このレビューを書いているうちにブラックだけでなくレッドもNike.comでセールになっています。
この価格なら狙ってみる価値はあるかと。
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TRACTION - 8/10
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CUSHIONING - 9/10
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COURT FEEL - 8/10
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FIT/LOCKDOWN - 7/10
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SUPPORT - 7/10
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LATERAL TRANSITION - 8/10
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HEEL-TOE TRANSITION - 9/10
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BREATHABILITY - 8/10
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DURABILITY - 6/10
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WEIGHT - 9/10