adidas Harden Vol.5 Performance Review
- テストカラー:Support(H68685)
- 主な機能:Boost x Lightstrike Drop-in Midsole, TPU Internal Heel Counter, Forefoot Inner Bootie
- 着用した主なプレイヤー:James Harden, Zach LaVine, Kyle Lowry,Onyeka Okongwu,Mason Jones,Deividas Sirvydis
- 価格:¥18,700・$130
Introduction
今回はJames Harden(ジェームズ・ハーデン)の5thシグネチャー"adidas Harden Vol.5"のパフォーマンス・レビューです。
発売から間もない頃から「癖のあるパフォーマンス」との声が続々と上がっていた今作。
早く試した気持ちはありつつ、好みのカラーを待ちたい気持ちもせめぎ合う中、一度間違ったサイズを購入したり、周り回って一番欲しかったカラー"Support"をGet。
実物の第一印象は「蝶」の存在感が予想以上で、マテリアルの「発色」が予想以上に綺麗。
パフォーマンスはどうなりますか、早速その細部を見ていきたいと思います。
TRACTION - 8 / 10
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。
前作"Harden Vol.4"に引き続きクモの巣状の「スパイダーウェブ・パターン」で全面が構成されたアウトソール。
ラバーはエメラルドの「トランスルーセント」単体。粘性(変形のしやすさ)は高めで、粘着性はやや高めです。
綺麗なコートではスキール音は大きめに鳴るものの、制動距離はほとんど感じず快適。
粘着性があるだけにホコリにはやや弱く、数ポゼッションごとに拭く必要がありますが、ソールの接地面積は広く滑り方は小さめ。
トータルのトラクションは良好で、体感スコアは9。
スコアを下げる要因になったのは「サイズ選びと履き方」。
詳しくはFit/Lockdownの項目で述べます。
CUSHIONING - 9 / 10
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。
今作のクッションはアディダスモデルとしてはおそらく初めてとなる「ドロップイン・ミッドソール」を採用。
これはナイキのKobeシリーズでお馴染みのインソールとミッドソールが一体になっているタイプの事で「インサート」と呼ばれることもあります。
そのドロップインはベースは「ライトストライク」で、上面にフルレングスで「ブースト」を配置。
ドロップインの良いところはミッドソールが完全にアッパーで覆われていて、クッションが拡がるのを抑えてくれ、より反発性のあるクッションに変わる事。
ライトストライクもブーストも単体だと吸収性に寄ったフォーム素材ですが、今作のセットアップとなると違います。
(ちなみにアッパーにライトストライク調の模様が刻印されていますが、あの部分のアッパーは硬質なTPU素材です)
更に今作のドロップインの底面にはシャンクも兼ねたTPUパーツが埋め込まれ、新品の段階のソール剛性は「鉄板」。
フォアに体重を掛けるとカカトが抜ける感覚があり「これでバスケするのは無理じゃ?」と思うほど。
新品のバッシュを試合で使うことも全然厭わない派ですが、今作に関しては対人で使うまでに個人練習で2回、合計1時間半ほど履いてから対人での使用を開始。
トータル2時間を過ぎた辺りでソール剛性は一気に落ち着き、正直少し落ち着き過ぎた感もありますが、それでもフロアを押した際のクッションの反応は素直。
初代の"Harden Vol.1"を思い出すパフォーマンスで、ジャンプの時の加速力だけがあと一歩なものの、平面での加速力は十分で、重心移動は全方向にスムーズです。
吸収性に関しては、初代よりやや厚いクッションですし、剛性が落ち着いたあとは問題になることは無いでしょう。
※ドロップインミッドソールの底面の接着剤はかなり強力。撮影のため右足だけ新品の状態で取り外しましたが、全身をデッドリフトのように使ってようやくでした。。
※握力が死にました。。オススメはバスケで使用直後。ソールの変形と熱を持ったことで接着剤が緩み、左足は簡単に取り外せました。
COURT FEEL - 9 / 10
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。
FIT/LOCKDOWN - 7 / 10
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。
今作のメインテーマはここ。フィットの部分でしょう。
"Futurenarural Technology(フューチャーナチュラル・テクノロジー)"と呼ばれるシームレスなアッパーとの事ですが、「フォアブーティー」を「アッパー」が包むほぼオーソドックスな仕様です。
特筆するとしたらヒール内部に4つのパッドを設置したことと、アッパーのメイン素材が硬質なナイロンメッシュなことでしょうか。
パッドの中身はウレタン系のメモリー(形状記憶)フォームで、長期の使用にも耐えてくれそうです。
そのパッドがあっても新品からしばらくはヒールの抜け感は強く、履けたものではありませんでした。
ソール剛性が落ち着いてからは特に問題無くなりましたが、「試着の段階でこの変化を想像するのは難しい」かと。
変化後もナイロンメッシュがフォア屈曲時に少しゴワつき、ここも慣れるまでは時間がかかるかもしれません。
あとは基本的な部分ですが今作は「サイズ選び」が難し過ぎます。
普段ナイキやジョーダンのグローバルラストの27.5cmをソックス2枚で履いていますが、今作はソックス1枚で「26.0cm」がべストです。
2枚でも履けなくはありませんが、やや高さがキツかったです。
加えて「履き方」としてはフォアに捨て寸を取るより、ヒールに捨て寸を取ってフォア寄りで履く方が動きやすく感じました。
この「サイズ選び」と「履き方」を間違えると今作はソール面積の広さが仇になり、体重が掛からない部分が多くなりトラクションもかなり悪くなりますのでご注意を。
(Youtubeで今作の海外レビューをいくつか見ましたが、皆さんブカブカで履いていてトラクションが効いていないように見受けられました)
体感としてはスコア8くらいですが、色々と試行錯誤が要求され過ぎるのでポイントを下げました。
※※※サイズ選びに関して※※※
前述のとおり、ナイキのグローバルのマイサイズからは1.5cmダウンの"26.0cm"を購入。
自分の場合はソックスを減らしているため、普段ソックス1枚でプレーされている方はナイキのグローバルからフルサイズ(1.0cm)ダウンを基本に考えて良いかと。
前作とは違って「GCA(アジア向けの幅広ラスト)」の表記はありませんが、今作も幅は広いです。
ただし高さは低めで、幅より高さを合わせる事を大切に考えている身としては、幅の広さはあまり気にならず履けています。
ともあれ前作に引き続きサイジングの難しさは健在。
(もしかしたらまたカラーによってサイズ感が異なるなんてことも無いとは言い切れませんし…)
ご購入の際にはくれぐれもご注意を。
SUPPORT - 8 / 10
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。
LATERAL TRANSITION - 9 / 10
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。
HEEL-TOE TRANSITION - 9 / 10
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。
BREATHABILITY - 7 / 10
通気性能。 通気が良いほど高評価。
DURABILITY - 7 / 10
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。
WEIGHT - 8 / 10
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。
Final Conclusion
バッシュは新品状態が機能的に最高なことが多いですが、今作に関しては珍しく「馴染ませる」時間が要りました。
馴染んで安定した後はプレーしやすく、正直今までのHardenシリーズの「傾向」をしっかり踏襲したパフォーマンス。
自分の感じる「傾向」は、ジャンプはし難いものの、平面に特化したクッションで、フィットはヒールもフォアも幅が広く、甲は低め、です。
今作もHarden本人のプレースタイルどおり、クロスオーバーやピック&ロールでのステップには向いた仕様となっています。
今までのモデルが好みなら購入候補に入れても良いでしょう。
その際は「サイズ選び」だけはくれぐれもご注意をm(__)m(2回目)
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TRACTION - 8/10
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CUSHIONING - 9/10
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COURT FEEL - 9/10
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FIT/LOCKDOWN - 7/10
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SUPPORT - 8/10
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LATERAL TRANSITION - 9/10
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HEEL-TOE TRANSITION - 9/10
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BREATHABILITY - 7/10
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DURABILITY - 7/10
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WEIGHT - 8/10