Nike Zoom Hyperrev 2016 EP Performance Review

7月 6, 2016
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  • テストカラー:University Red/Bright Crimson(820227-660)
  • 主な機能:Hyperfuse Technology, Forefoot Zoom Air Unit, Heel Zoom Air Unit, Neoprene Inner Bootie, Phylon Midsole, Rubber External Heel Counter, TPU Internal Heel Counter, Flight Web System
  • 着用した主なプレイヤー:Draymond Green, Aaron Gordon, DeMarcus Cousins, Bradley Beal, Deron Williams, Trevor Ariza, Reggie Jackson, Festus Ezili, C.J. McCollum
  • 価格:¥16200(国内)・$110(海外)

Introduction

12750266_525499317611105_156991321_n今回は“Zoom Hyperrev 2016 EP”のパフォーマンス・レビューです。

ハイパーレブシリーズでは3rdモデルに当たります。


発売直後から話題に事欠かないこのモデル。

良くも悪くも、今作を有名にしたのはダンクコンテスト準優勝のアーロン・ゴードンでしょう。

ダンクコンテストでは今作を履いてザック・ラビーン相手に名勝負を繰り広げ、後のシーズンゲーム中には動きが激しすぎたのか、今作のミッドソールが裂けるハプニングがあり、ネットやニュースでかなり話題になりました。

実際の機能はどうなのか?個人的にもかなり気になっていたモデルです。

それでは細部を見ていきたいと思います。

TRACTION - 8 / 10

【Traction (トラクション) 】
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。

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アウトソールは細かいダイアモンド・パターン。

ラバーは耐久性に優れたXDR。

XDRは若干硬めで、粘性は通常レベル。

接地面積は大きく、綺麗なコートでは素晴らしくグリップします。

ホコリには弱く、頻繁に拭く必要があるでしょう。

CUSHIONING - 9 / 10

【Cushioning (クッショニング)】
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。

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ファイロン・ミッドソールに、フォアフットとヒールの前後ズームエアのセットアップ。

ズームエアはフォア、ヒールともにミッドソール底面に埋め込まれています。

ボトムロードと呼ばれるタイプですね。

このボトムロードの場合、ミッドソールが邪魔をしてズームエアの感触が無い事がしばしば。

ですが、今作のファイロンはソフトなので、適度にズームエアの感触が足裏に感じられます。

インソールも適度な厚みがあり、モチモチしたオーソライト製なので衝撃吸収性はなかなかに優秀です。


前作“Zoom Hyperrev 2015”では弱かったフォアフットの剛性・復元性は、今作では適度に強くなり、ズームエアの反発はほとんど逃げません。

シャンクプレートは入っていないので、中足部はしなやかですが、ソール自体の剛性のおかげでアーチも維持され、やはり反発力はほとんど逃げず、快適です。

COURT FEEL - 9 / 10

【Court Feel (コート・フィール)】
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。

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アウトソールはフラットに近い形状で、クッションもそこまで厚くないため、なかなかの接地感があります。

ズームエアも接地感を阻害することなく、その役目のみ果たしています。

FIT/LOCKDOWN - 5 / 10

【Fit/Lockdown (フィット/ロックダウン)】
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。

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インナーブーツをアッパーのメインとする構造は、前作“Zoom Hyperrev 2015”と同様。

カッチリしたフューズ素材をつま先から小指側にかけて刺繍して張り付けた構造。

ミッドフット・ストラップもこのフューズ素材と繋がっています。


いざ着用しようとすると、まず足が入らない。

インナーブーツの履き口に伸縮性はありますが、元の形状が小さ過ぎて、かなり強く引っ張りながら押し込まないと履けません。

“AIR MAX2 CB ’94”に次いで、歴代2番目に履きにくいバッシュです。

せめて前作のようにV字にカッティングくらいは欲しかったですね…。


そして肝心のフィット感ですが、フォアから中足部にかけては素晴らしいフィット感。

ストラップはちょいちょいプレー中に剥がれてしまってますが、それでも違和感なくプレーできます。

一方、ヒール・足首周りはゆるゆるです。

ヒールカウンターの成型が甘いのが主な原因かと。

シューレースの最上段も低く、履き心地はローカットです。


軽量な設計なので、ヒールのフィットの緩さは慣れればなんとかなりましたが、足入れの難しさ・ストレスは看過できるレベルではなく、スコアは厳しめになりました。


サイズに関してはEPバージョンらしく広めのつくり。

通常サイズを求めるなら海外版がオススメです。

但し、中の空間が広くても足入れは難しいので、どちらにしても要試着モデルでしょう。

SUPPORT - 6 / 10

【Support (サポート) 】
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。

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アウトソールの形状はほぼフラット。

シャンクプレートは入っていませんが、アウトソールとミッドソールの剛性のおかげで過度な捻れは起きません。

やはり問題となるのはヒールと足首周り。

TPU製インターナル・ヒールカウンターとラバー製エクスターナル・ヒールカウンターがありますが、いずれも成型が緩く、強度も柔らかめなので心許ない印象。

シューレースの最上段の位置も低く、足首のロックダウンもイマイチ。


トータルのサポート性は平均以下でしょう。

足首の弱いプレイヤーやビッグマンにはあまりオススメできない仕様です。

LATERAL TRANSITION - 8 / 10

【Lateral Transition (ラテラル・トランジション) 】
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。

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個人的にはシャンクが入って変形しないバッシュが左右方向の動きにはベストだと思っていますが、今作は変形しても復元が速い。

少し違った感触ですが、悪くなく、動きに支障はありません。

このつくりだと心配なのが耐久性ですが、それは後述します。

ヒールのフィットの緩さは相変わらず気になりますが、左右方向の動きにはそこまで影響して来ません。

HEEL-TOE TRANSITION - 7 / 10

【Heel-toe Transition (ヒール/トゥー・トランジション) 】
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。

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縦方向への重心移動ではカカトの緩さが影響して来ます。

ヒールの接地するタイミングが速かったり、シューズ内で足が遊んだりして、せっかく反発性あるソールに体重が上手く乗りません。

軽くて、トラクションは悪くないのでギリギリ平均レベルのトランジションかと。

BREATHABILITY - 9 / 10

【Breathability (ブレイザビリティ) 】
通気性能。 通気が良いほど高評価。

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アッパーの半分はインナーブーツが剥き出しの作りなので、通気性はなかなか優秀です。

ヒールのフィットが緩い事も通気性にはプラスです。

DURABILITY - 6 / 10

【Durability (デュラビリティ) 】
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。

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ハイパーレブはシリーズを通して耐久性はあまり考えられていない作りで、今作も例外ではありません。

“Lateral Transition”の項でも少し触れましたが、シャンクプレートが入っていないため、シューズの剛性を担保しているのはアウトソールとミッドソール

アウトソールはラバーなのでそうそうダメージが来ることはないと思われますが、ミッドソールのファイロンは別です。

シューズを特に酷使する身体能力系プレイヤーや体重あるプレイヤーの場合、結構早い段階でアーロン・ゴードンのような状態になる可能性があるでしょう。

やはり体重の軽いプレイヤーやガード向けのバッシュだと思います。

WEIGHT - 9 / 10

【Weight (ウェイト) 】
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。

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約379g(27.5cm・片足)

※実際に計測した重量です。

Final Conclusion

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前後ズームエア搭載の軽量モデルとして、発売前から高パフォーマンスが期待されていたモデルでしたが、実際のパフォーマンスはイマイチ。

ソール周りの作りは悪くないだけに、アッパー、特にヒール周りのフィット感の緩さと、足入れの難しさがかなり残念。

正直あまりオススメできないバッシュです。


同じ前後ズームエア搭載モデルなら前作“Zoom Hyperrev 2015”を選んだ方が無難でしょう。

ズームエアがトップロードかボトムロードかの違いはありますが、トータルのパフォーマンスには前作の方が遥かに優れたバッシュかと。

  • TRACTION - 8/10
  • CUSHIONING - 9/10
  • COURT FEEL - 9/10
  • FIT/LOCKDOWN - 5/10
  • SUPPORT - 6/10
  • LATERAL TRANSITION - 8/10
  • HEEL-TOE TRANSITION - 7/10
  • BREATHABILITY - 9/10
  • DURABILITY - 6/10
  • WEIGHT - 9/10
TOTAL SCORE
B 76 / 100

PERFORMANCE RANKING

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