Nike Kyrie 1 EP Performance Review

- テストカラー:Australia(705278-737)
- 主な機能:Hyperfuse Technology, Forefoot Zoom Air Unit, Phylon Midsole, Neopren Inner Bootie(Forefoot Only)
- 着用した主なプレイヤー:Kyrie Irving, Bradley Beal, Dennis Schroder, Jordan Clarkson, Michael Carter-Williams, P.J. Tucker
- 価格:¥15,120(国内)、$110(海外)
Introduction
今回はKyrie Irving(カイリー・アービング)の1stシグネチャー"Nike Kyrie 1 EP"のパフォーマンス・レビューです。
ナイキの新シグネチャーはデュラントのKDシリーズ以来、実に7年ぶり。
過去のナイキシグネチャーはKobe、Lebron、KDいずれも初代は必ずナイキのスウッシュが入ったデザインでした。
今作もそれをしっかり踏襲し大きくサイドにスウッシュが配置されています。
NBA選手の着用率は非常に高く、もしかしたら2014-15シーズンで最も多く履かれたモデルかもしれません。
その機能やいかに…早速細部を見ていきたいと思います。
via https://www.kicksonfire.com/nba-kicks-kyrie-irving-debuts-nike-kyrie-1-37-points-game-winner/
TRACTION - 6 / 10
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。
全面が前後方向の「ヘリンボーン・パターン」のアウトソール。
※巻き上がったサイドウォールまでヘリンボーンは拡がっていますが、ここはグリップさせる必要のない箇所なのでデザインかと。
今作は「EPラスト」のためラバーの素材は耐久性に優れた「XDR」。
ラバーの粘性(変形のしやすさ)は低く、粘着性は高めの質感です。
アウトソールはフォアが反っていて、更によくよく見ると細かい傾斜が付けられています。
あまり変形しないラバーとこのソール形状が合わさって、接地面積が限定されるシチュエーションが多々。
ステップを空振りしてバランスを崩して怪我をしそうな事も数回ありました。
自分はけっこう踏み込みが強い方だと思うのですが、それでも扱いは難しかったです。
体重があるプレイヤーほどソールが変形し接地面積が増えるので、この辺りが平均体重100㎏前後のNBA選手に好まれる理由かなと。
またホコリの吸着も多く、頻繁に拭いてやる必要があります。
諸々トータルすると平均に届かないレベルのトラクションかと。
※ラバーの接地面積の限定は、XDRじゃない「通常ラバー」が使われた「グローバルラスト」なら違ったかもしれません。
※XDRは耐久性を持たせた配合な分、妙に硬く、屈曲具合も特殊だったりすることが多いので。
CUSHIONING - 7 / 10
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。
「ファイロン・ミッドソール」のフォアに「ズームエア」を埋め込んだクッション・セットアップ。
ファイロンはかなり柔らかく、最近レビューした"Nike KD VII(7)"とほぼ同じくらいの質感です。そのため全体に薄めのセットアップながら衝撃吸収性は十分なレベル。
フォアのシャーシー部分は巻き上がったアウトソール覆われ、フォアの屈曲剛性・復元性は強く、反発性もなかなかに強いです。
その場でジャンプするだけなら十分ですが、平面移動の中ではフォアの反った形状のためクッションのポテンシャルを引き出せません。
陸上のスパイクやランニングシューズのように、前方のみに移動する競技なら有効な形状ですが、バッシュには正直向かないと思います。
ソール形状を抜きにしたらけっこう好みのクッションだっただけに惜しい仕様です。
COURT FEEL - 7 / 10
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。
FIT/LOCKDOWN - 9 / 10
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。
「フォアフット・インナーブーティー」を「フューズ素材」が包むアッパー・セットアップ。
パッと見はメッシュ素材に見えますが、それはフューズ表面に貼り付けた「テキスタイル」なので実際はかなりカッチリと剛性ある質感です。
インナーブーティーの素材には、伸縮性・耐久性・クッション性に優れた合成ゴムの一種である「ネオプレン」が使われています。
足入れは非常に簡単でストレス無し。
ヒール周りには十分なパディングがあり、特に足当たりが気になるポイントもありません。
ここでもソール形状からフォアに少し違和感は感じますが、それ以外は素晴らしいフィット感です。
※※※サイズ選びに関して※※※
今回は「EPラスト」の"27.5cm"を購入。
EPを買う場合、普段ならハーフ(0.5cm)サイズダウンするところでしたが、今作はダウンしなくて正解でした。
フォアの反ったソール形状に過度に乗ることを避ける事が出来るからです。
また個人的には気になりませんでしたが、幅もEPにしては狭めの作り。
グローバルは試していませんが、噂によると更に狭いと聞くので足幅の広い方はハーフサイズアップも検討して良いと思われます。
SUPPORT - 6 / 10
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。
LATERAL TRANSITION - 7 / 10
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。
スライドやクロスオーバーで空振りしてバランスを崩すことが何度もありました。
時間とともに少しずつ慣れてきましたが、それでもスムーズとは言い難い仕様です。
HEEL-TOE TRANSITION - 8 / 10
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。
前方向へは転がる感じでの加速感はありますが、減速がし難い感覚です。
BREATHABILITY - 7 / 10
通気性能。 通気が良いほど高評価。
ネオプレン素材のインナーブーツは速乾性がありますが、フューズのアッパーには通気性がほぼありません。
通気する素材が使われているのはタン部分くらいです。
DURABILITY - 9 / 10
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。
WEIGHT - 10 / 10
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。
Final Conclusion
現在もうすぐ"Nike Kyrie 8"が発売になりそうな2021年にリライトしていますが、初期のカイリーシリーズはやはり扱い難かったなとしみじみ感じます。
初代シグネチャーなので何か特色を付けようとする意気込みからやり過ぎたイメージです。
実際に今作を履いた当のカイリー・アービングも2度の大きな怪我に見舞われ、いずれの怪我も着地のタイミングが合わず膝の負傷でした。
もちろんシューズのせいだけではないでしょうが、似たような状態に自分も何度もなったので少なからず関係しているように感じます。
基本あまりオススメできないパフォーマンスですが、ややオーバーサイズで「ヒール寄り」、もしくは「フォア寄り」で履くことでソール形状のデメリットをある程度相殺できる可能性があります。
今作に限らず似たソール形状のバッシュを履く際には是非お試しを。
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TRACTION - 6/10
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CUSHIONING - 7/10
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COURT FEEL - 7/10
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FIT/LOCKDOWN - 9/10
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SUPPORT - 6/10
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LATERAL TRANSITION - 7/10
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HEEL-TOE TRANSITION - 8/10
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BREATHABILITY - 7/10
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DURABILITY - 9/10
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WEIGHT - 10/10