Nike Hyperdunk 2017 TB Performance Review
- テストカラー:Midnight Navy/Matallic Silver (897808-400)
- 主な機能:Nike React Cushioning, Phylon Midsole, TPU Internal Heel Counter, TPU External Heel Counter, TPU Shank Plate, Half-length Inner Bootie, Engineered Mesh
- 着用した主なプレイヤー:Draymond Green
- 価格:¥16,200(国内)・$140(海外)
Introduction
今回は"Hyperdunk 2017 TB(ハイパーダンク 2017 TB)"のパフォーマンス・レビューです。
同じクッション"Nike React(ナイキ リアクト)"を使った"Jordan Super.Fly 2017 PF(ジョーダン スーパーフライ 2017)"は予想外に平凡なパフォーマンス。
平凡なパフォーマンスに留まった原因は、リアクトではなく「ポデュロンの沈み」と「厚いインソール」の影響に因るところが大きいように感じました。
なので今作のシンプルな構成の方が、よりリアクト自体のパフォーマンスがダイレクトに感じられるはずです。
ほぼ毎年ハズレのないハイパーダンクシリーズですし、期待して細部を見ていきたいと思います。
TRACTION - 10 / 10
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。
"Jordan Super.Fly 2017 PF"とはまた異なる「プレッシャー・マッピング・パターン」のアウトソール。
ソリッドラバーは若干硬めで、粘性も通常レベル。
エッジ部分のパターンは細かく、ホコリにも弱そうなルックス。
…などと心配していましたが杞憂に終わりました。
細かいパターンのほぼすべてがしっかりコートを噛む感覚があり、どんなフロアでも素晴らしくグリップします。
このパターンの接地角度が計算された上のデザインだったらナイキ、凄いです。
トラクション自体はパーフェクト。
ただ、アグレッシブにグリップし過ぎて、強いステップではフォア部分にブレが生じるます。
このトラクションに合わせるなら、アウトリガーはミッドソールに対してもっと広めで、更に出来るならもっとフラットな形状が良かったかと。
※このブレは反発性やトランジションの項目で影響して来ます。
CUSHIONING - 8 / 10
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。
イントロで触れたとおり、「ファイロンの型枠(キャリアー)」の内側に「リアクト」が配置されているクッション・セットアップ。
インソールはソフトめのオーソライト製で、一般的な厚さです。
試着段階では、フォアはミチッとしっかりした乗り心地で、ヒールはグニュッと大きく沈む感覚。
使い始めてしばらくは、この前後の高低差から足のアーチが崩れ、疲れやすい。
5回目か6回目でクッションがある程度の硬度で安定し、高低差も気にならないレベルに落ち着きました。
安定後の「リアクト」は体重が軽いプレイヤーは少し硬いと感じるかもしれません。
ルナロンよりはファイロンに近い感覚ですかね。
ソフトでは無いものの弾力性はまずまずで、衝撃はしっかり吸収してくれます。
硬めのクッションなので反発・反応はなかなか快適。
ソール全体の剛性も強めです。
惜しいのはやはり「フォア部分のブレ」。
特に左右方向への強いステップ時に、フォア全体がグニャッとスライドする感じで遅れが生じます。
このブレは"Kyrie 2 EP"を思い出します。
"Kyrie 2 EP"よりブレは少なく、個人的には今作の方が好みです。
「リアクト」搭載モデルを連続して履きましたが、正直「革新的」と言えるほどのクッションではないかと。
何も事前情報無しで履けば良いクッションなのですが…プロモーションでハードルを上げ過ぎた感がありますね。
ともあれ今後どのようにリファインしてくるか期待します。
※補足ですが、インソールの糊がかなり多く、新品の状態でも剥がすのに苦労しました。
インソールを交換したい方は要注意です。
COURT FEEL - 8 / 10
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。
FIT/LOCKDOWN - 10 / 10
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。
「ハーフレングス・ブーティー」を「エンジニアード・メッシュ」のアッパーが包んだセットアップ。
エンジニアード・メッシュはフューズ素材の表面に貼り付けたテキスタイル仕様。
フューズは薄く柔らかく、ヒールカウンター含めた全体の成型も良い。
シューレースのロックダウンも十分なレベル。
シンプルで癖がなく、本来のハイパーダンクシリーズらしい快適な履き心地です。
※サイズ選びについて※
今作はアジア人向けの幅広「EPラスト」ではなく、通常の「グローバル・ラスト」。
それでも長さと幅は若干大きめの作りで、ハーフサイズダウンするか微妙なラインです。
※ちなみに商品タイトルにある"TB"は"Team Bank"の略で、チーム対応のツートーンカラーのシリーズである事を表しています。
SUPPORT - 9 / 10
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。
LATERAL TRANSITION - 8 / 10
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。
左右方向の動きではフォアのブレはやはり影響して来ます。
ここは"Jordan Super.Fly 2017 PF"とは正反対で、母指球のみで動こうとすると大きめにブレます。
足裏全体でステップした方が、反応が速く動きやすいです。
HEEL-TOE TRANSITION - 9 / 10
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。
BREATHABILITY - 7 / 10
通気性能。 通気が良いほど高評価。
DURABILITY - 8 / 10
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。
WEIGHT - 9 / 10
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。
Final Conclusion
試着段階では"Jordan Super.Fly 2017 PF"の方が良いと感じましたが、履いていくうちに評価は逆転。
エッジのブレも許容範囲内で、非常に手堅いハイパーダンクシリーズらしいパフォーマンス。
ポジション問わず履けるバッシュです。
ちなみに今回使用したのは、アッパーがテキスタイルメッシュの「メッシュバージョン」。
前作"Hyperdunk 2016"同様、「フライニットバージョン」も発売されています。
ただ今年はアッパーが変わるだけで、クッションというかツーリングが全く同じなので「フライニットバージョン」をレビューするかは正直迷い中。
ブレを考えるとよりソフトなアッパーは向かない気がしないでもないので…。
リアクトに関して補足情報として、いつもの解体業者さんがフォームの密度の比較を出してくれています。
計測結果はそれぞれ「ルナロン」が"0.106g/cm3" 「リアクト」が"0.187g/cm3"。
数値が大きい方がより高密度でミッチリしたフォームと言う事の様です。
一般的に密度が高いフォームの方が反発性も高いので、リアクトはルナロンより高反発であると言えそうです。
あとはその使い方でしょうね。ダブルラストにしたり、エアと組み合わせたり。
今後新しいクッションの選択肢として定着するかどうか?
注視して行きたいと思います。
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TRACTION - 10/10
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CUSHIONING - 8/10
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COURT FEEL - 8/10
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FIT/LOCKDOWN - 10/10
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SUPPORT - 9/10
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LATERAL TRANSITION - 8/10
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HEEL-TOE TRANSITION - 9/10
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BREATHABILITY - 7/10
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DURABILITY - 8/10
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WEIGHT - 9/10