Nike Air Zoom G.T. Run Performance Review
- テストカラー:SPORT RED/WHITE-BLUE VOID(CZ0202-604)
- 主な機能:Forefoot Zoom Air Unit,Forefoot Zoom Air Strobel,Nike React Sockliner,Nike React Carrier, Forefoot Inner Bootie,TPU Shank Plate,TPU Internal Heel Counter
- 着用した主なプレイヤー:Kevin Love,DeAndre Jordan,Tony Snell,Bobby Portis,Kentavious Caldwell-Pope,Steven Adams,DeAndre' Bembry,Kyle Anderson,Duncan Robinson,Paul Millsap,Rudy Gobert,Kenyon Martin Jr,PJ Tucker
- 価格:¥22,000・$175
Introduction
今回はナイキの新しいバスケットボールシューズシリーズ「Greater Than(グレイター・ザン)」の2作目"Nike Air Zoom G.T. Run(ナイキ エアズームGTラン)"のパフォーマンスレビューです。
このシリーズはまず"Nike Air Zoom G.T. Cut(ナイキ エアズームGTカット)"の発売があり、続いて今作。
そしてもうすぐ"Nike Air Zoom G.T. Jump(ナイキ エアズームGTジャンプ)"の発売が予定されています。
GTカットもレビューしたかったのですが、発売後に即完売。そしてリセールマーケットでも価格は高騰。
メーカー情報のスペックでも伝え聞くパフォーマンスでもコービーシリーズに似ているとの事で、流石にこれはスルーでした。
一方今作は手ごろな値段で出回ってたのを見つけ、衝動買い。
ズームストロベルはあまり好みじゃないため見送るはずだったのですが…
とにかくその細部を見ていきたいと思います。
TRACTION - 8 / 10
コートをグリップする性能。 良くグリップするほど高評価。
なんとも表現しにくいパターンですが敢えて名付けるなら「アメーバ状」のアウトソール。
ラバー素材は全面ネイビーの「ソリッド」。
粘性(変形のしやすさ)はやや高めで、粘着性は通常レベル。
パターンの深さは通常レベルですがホコリにも強い仕様。
ただクッションの厚さが原因で、体重を掛けてからのリスポンスが遅い。
アウトソール単体で見たら優秀ですが。。
この段階で既に平面でクイックに動きたいプレイヤーには向かない空気を感じます。。
CUSHIONING - 5 / 10
「衝撃吸収性能」/「反発性能」。 両性能を合わせて総合的に評価。
「フォアフット・ズームエア」の上に「フォアフット・ズームストロベル」を重ね、更にその上から「リアクト・インソール(ソックライナー)」を載せたクッションセットアップ。
また外から見えるミッドソールやヒール内部には「リアクト」が使われています。
この「ズームストロベル」と言うのは"Nike KD12"に初めて採用されたナイキの新しいクッショニングシステム。
通常のバッシュに限らずスニーカーと分類されるシューズのほとんどはフォーム素材の「ストロベルボード」を中心にアッパーやエアやソールが組み上げられて完成します。
バッシュのインソールを取り出した下に見えるグレー(もしくは白色)のやつが通常のストロベルボードです。
フォーム素材の代わりにズームエアを中心に組み上げたのが「ズームストロベル」と呼ばれ、今までのバッシュより一層クッションが減り、インソールの真下にフルレングスのズームエアが来ることに。
結果ズームエアの感触がより直に感じられるようになり吸収性が増す仕様で、個人的にはあまり好みでないのですが…好奇心に勝てず衝動買いした今作。
実際に足入れしてみると…まず足が入らない。。
履き口が特に狭いわけではなく、リアクトインソールの表面摩擦が強い事と、フォアの空間がやや低い事が原因な模様。
とりあえずいつものソックス2枚で履くには、ソックス1枚で3回ほど履いてクッションを沈ませる必要がありました。
いざオンコートでプレーしてみると…全く動けない。
全体に厚めのクッションで前後バランスはほぼフラットな設計。
フラットは嬉しい設計ですが、ズームエアが2枚重なったフォアは毎回沈むばかりで欲しいタイミングで反発が返って来ません。
最近"Nike Kyrie 7(ナイキ カイリー7)"のレビューを書き直したように「ジャストサイズで履く事で押し込みが強過ぎているのでは?」とソックス1枚に変更して再トライ。
沈みはやや少なくなりましたが厚底感は残り、どの方向にステップするにもどうしても反発より遅れが発生してしまいます。
※捨て寸をフォアに取っても、ヒール側に取っても同じでした。
唯一まともに反発を得られたのは「加速無しの垂直跳び」のみ。
時間を掛けて押し込んでからならズームエアとリアクトの反発が合わさり、ジャンプ力は明らかに伸びます。
身体能力テストでは活きるクッションかと。
衝撃吸収性は過剰に感じますが、とにかくフカフカなクッションが好きな方にはオススメできます。
※市販のインソール「スーパーフィートのグリーン」との相性は微妙。フィットも押し込みも色々チグハグになるのでオススメできません。
※"Nike Zoom BB NXT"の「リアクトインソール」は元インソールと同じ素材なので感触はほぼ同じ。元インソールの方がやや硬いのでそのままの方がどちらかと言うとベター。
※インソール交換はスコアに含めていません。
COURT FEEL - 5 / 10
コートに対する接地感覚。 コートを近く感じれるほど高評価。
コートとの距離は物理的に遠く、沈みもあるためかなり接地感は薄めです。
FIT/LOCKDOWN - 5 / 10
足に対するフィット性能。 足と一体感があるバッシュほど高評価。
「フォアフットブーティー」をメッシュの「アッパー」が包む構造。
ヒール周りとシューレースホール周りのメッシュは硬めで、それ以外の部分はソフトな質感です。
質感に関わらずメッシュは全体にかなり薄く、タンも極薄の部類に入るでしょう。
履き口は若干狭めですが、前述のとおりフォアの高さとリアクトインソールの摩擦から足入れは少し苦労します。
また足が入ったとしても、ソックスが巻き込まれて足指が変な形で固定されがちで、これは怪我の元なので足入れにはかなり気を遣います。
足入れ後にまず感じたのはシューレース最下段が食い込んで少し痛い。。
アッパーの足当たりが気になったのは本当に数年、いや10年振りくらいかもしれません。
シューレース交換以外では、かなり久々にこの部分のシューレースを緩めました。
緩めれば問題なくなりましたが、足型によっては鬼門となるやも。。
タンが薄いとシューレースの当たりが強くなることがありますが、今作は問題なし。
当たりの代わりにタンの上部が薄いことで高さにゆとりを感じます。
この部分を埋めるためにソックスを足したくてもフォアが窮屈になるので調整負荷。
これならシューレースホールの最上段を少し下に配置する必要があったかと。
ヒール周りと履き口にパディングのおかげで幸い足が抜けてしまう事はありません。
色々言いましたがトータルではちょっと残念なセットアップと言わざるを得ません。
※※※サイズ選びに関して※※※
普段のマイサイズからハーフサイズ(0.5cm)ダウンしてグローバルラストの"27.0cm"を購入しました。
若干フォアと中足部の間の高さが低めなので、最初クッションを少し沈ませるため試運転する必要はありましたが、最終的には普段のソックス2枚でジャストで履けました。
フォアの幅や高さがある方はマイサイズを選択が良いでしょう。
SUPPORT - 6 / 10
怪我を防止するサポート性能。 安定感があり、左右のブレ・捻れがないほど高評価。
前述のシューレース最下段が当たる部分と、足指が変な形で固定されてしまう部分がサポート性の懸念材料。
厚底なクッションから不安定に感じるかと思いきや、そもそもこのクッションでは鋭い動き自体が出来ない事が皮肉にもサポート性を高めています。。
LATERAL TRANSITION - 5 / 10
左右方向への動きのスムーズさ。 スライドやクロスオーバー時など横方向へ動きやすいほど高評価。
左右方向の動きでは大幅な遅れを感じます。
特に一瞬の軽いステップ動きたいときなど不必要にフォアのクッションが沈むため、イメージどおり動くのはかなり難しい仕様です。
ヒールストライカーの方であればそこまで気にならないかもしれませんが。
HEEL-TOE TRANSITION - 6 / 10
縦方向への動きのスムーズさ。 通常のランニング、カットイン時など前方向へ動きやすいほど高評価。
前後方向でもフォアメインでステップする身としては遅れの連続。
こちらもヒールストライカーの方は感覚が違うかもしれません。
BREATHABILITY - 9 / 10
通気性能。 通気が良いほど高評価。
タンがメインの通気口で、くるぶし周りやフォアのアッパーからも通気します。
素材自体も薄く、通気性能は高いと言えるでしょう。
DURABILITY - 8 / 10
耐久性能。 耐久性が良いほど高評価。
シューレースホールには周囲が補強がしてあり、履くときに相当無茶な引っ張り方をしたり、サイジングを間違えなければ問題になることはないかと。
ソール全体には剛性があり大きく変形することもないためズームエアに余計な負荷が掛かることもなさそう。
またサポート性同様、動きが制限されることがプラスに働いている印象です。
WEIGHT - 10 / 10
バッシュの片足の重さ。 軽いほど高評価。
362g(片足・27.0cm)
Final Conclusion
えー…パフォーマンス的に「バスケットボールシューズにカテゴライズするのは難しい」と言うのが率直な感想です。
ランニングや垂直ジャンプなどステップのタイミングと接地時間をコントロールできれば、2つのズームエアとリアクトから強い反発を期待できます。
ソールの屈曲剛性も高めなので、購入したもののバスケで難しいと感じた方はランニングに転用するのはアリかもしれません。
NBAではKevin Love(ケビン・ラブ)やBobby Portis(ボビー・ポーティス)などビッグマンしか着用しないのも納得のパフォーマンス。
"adidas Harden Vol.4(アディダス ハーデン4)"から今作に履き替えた試合ではSteven Adams(スティーブン・アダムズ)のジャンプ力が上がっていたのも合点がいきました。
ビッグマンで平面の動きはそんなに気にしないプレイヤーであれば履きこなせるかもしれませんが、あまりオススメはしません。
ナイキ公式や他のオンラインショップで半額かそれ以下のアウトレット価格で販売され始めてますので「リアクト・インソール」の確保狙いで買うならアリかもしれません。
"Nike Zoom BB NXT"の「リアクト・インソール」より少し硬質なので、自分もこのままインソールのラインナップに加えるか、だれかに譲ってしまうか迷っています。
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TRACTION - 8/10
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CUSHIONING - 5/10
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COURT FEEL - 5/10
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FIT/LOCKDOWN - 5/10
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SUPPORT - 6/10
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LATERAL TRANSITION - 5/10
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HEEL-TOE TRANSITION - 6/10
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BREATHABILITY - 9/10
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DURABILITY - 8/10
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WEIGHT - 10/10